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都立DB高校野球部


170 名前:都立DB高校野球部 設定[sage] 投稿日:03/09/12 18:02 ID:???
ヤムチャ 監督兼部長兼キャプテン兼抑えのエース 2年生

セル ピッチャー 1年生
フリーザ キャッチャー 1年生
悟空 ファースト兼ピッチャー 2年生
べジータ セカンド 2年生
リクーム サード 2年生
ミスターサタン ショートストップ 2年生
天津飯 レフト 1年生
ナム センター 1年生
クリリン ライト 2年生

その他控え
プーアル(ヤムチャ監督の右腕)

伝令他 餃子

野球SS、始めます。



171 名前:都立DB高校野球部[sage] 投稿日:03/09/12 18:03 ID:???
一回戦

「お前ら!! いよいよ…いよいよ夏の大会だ!! 」
「「「「「はい!! ヤムチャ監督兼部長兼キャプテン兼抑えのエース!!! 」」」」」

緒戦の相手は、ベスト4常連の強豪・池山学園。
打線はそれほどでもないが、好投手がいて、守備や小技もうまい。連携も評判高い。
対する都立DB高校は、去年不出場。下馬評は、圧倒的に池山高校優勢との意見が多い。
しかし、DB高校には、溜まり溜まった気持ちがあった――

去年、3年生の不祥事があった。ブウがやらかしてしまった。それも、夏の大会開始直前に――
その結果、一年間の対外試合出場禁止。
高野連は厳しい処置を下したのである。
当時、ヤムチャたちは一年。3年は全員強制退部。2年生も嫌気がさして辞めてしまった。
一年間、一年の部員10人足らずで地べたを這って頑張ってきた。
そして、試合解禁。その成果を、今――

「行くぞォ!! DB高ファイ!!! 」

「「「「「ファイ!!!!! 」」」」」


8回ウラを終って池山1−0DB
DB高校、未だノーヒット――(続く)



81 名前:都立DB高校野球部[sage] 投稿日:03/09/28 22:59 ID:uP4m.Nao
前スレの170からの続き

 「ノーヒットとはどういうことだ!?? 」
ヤムチャ監督兼部長兼キャプテン兼抑えのエースはベンチの部員を怒鳴りつけた。
かなり苛ついている。無理もない話だ。
彼は無能で策も何も無く、やり場の無い怒りを何かにぶつけるしかない、とても弱い人間なのだ。
ここでも、相手の池山高校の好投手・馬渕に為す術もない。監督には何もない。
 「仕方ねェな…… 」
俺が、何とかしてやる………

 「でも… 具体的にどうすれば奴を打てるのですか?プーアル先輩」
天津飯はプーアルに問う。答える。
 「最終回は3番からか… よし、こうしよう――」

《DB高校9回表の攻撃 3番セカンドべジータ君》
べジータの回想。
 『――相手投手は変化球重視で放ってくる。その種類は俺が見ただけでも7種類。
  お前らにはとてもじゃねえが打てねぇ。大体お前ら早打ち過ぎだ! す〜ぐ引っ掛けてゴロりやがる』
――ならば、どうやって打てと?
 『打てねえからよ。打てねぇなら… どうする? 』

 (決まっている。打てないのなら… )
ボールカウント2−3。ピッチャー放る。
べジータはバントの構え。相手陣営の予想外行動だ。
3塁方向にボールが転がる。3塁手は深く守っていた。間に合わない。
ガッツポーズのべジータ。沸くDB高ベンチ、そして応援団。
 「べジータ、良くやった…2ストライクから3番がバントしてくるとは思わないだろうからな…… 」
ほくそ笑むプーアルの横で、何が起こったのかイマイチ理解出来ていないヤムチャ監督兼部長兼キャプテン兼抑えのエース。
 「プーアル。今何がどうなったんだ?」
プーアルはウザそうに
 「どうせヤムチャさんに言っても分かるわけ無いです。アンタはさっさとレモンの砂糖漬けでもこしらえてくださいよ? 」
ヤムチャ監督兼部長兼キャプテン兼抑えのエース兼レモンの砂糖漬け作成係は、黙々と砂糖漬けを作り始めた。



84 名前:都立DB高校野球部[sage] 投稿日:03/09/29 00:47 ID:uP4m.Nao
《4番サードリクーム君》
 「おい、リクーム! 」
 「なんすかプーアルさん?」
プーアルの次の作戦が、リクームに伝えられる。
 「え……大丈夫っすか、それ」
リクームの顔に困惑の色が浮かぶ。
 「へーキだよ。お前、今までの3打席全部初球に手ェ出してたろ?相手も甘く見てんだろうよ」

DB高ベンチを横目に池山高バッテリーの相談。
 (おい…あのバッター、一発だけはありそうだから気ィ付けろよ?)
 「バカ! 俺はアイツに限らず今日は全員抑えてきた!! アイツも変化球で抑えてやる! 」 
 (お… おいっ! そんなデカイ声で…… )

プーアルはそれを見て
 「ふふ… 相手さんも必死だな。パーフェクト阻止されて余程悔しいんだろうぜ」
プーアルはリクームの背をポンと叩き、
 「隙が出来る、狙ってけ。決めるんだ!! 」

リクームが打席につく。ピリピリした緊張感が球場を覆いつくす。
 「あ、ヤムチャさん、用意しといて下さいよ。一応抑えのエースでしょ?んな砂糖漬けなんて作ってねーで」
プーアルは乾いた声でヤムチャに言い放つ。
色々言いたいこともあったが、ヤムチャ監督兼(略)はとりあえずキャッチボールを始めた。



146 名前:Classical名無しさん[sage] 投稿日:03/10/03 18:14 ID:uFxw73To
 相手投手は、技巧派の変化球投手。
 7種類(細かい所も含めれば10種以上とも言われる)の変化球で打たせて取るピッチングが信条。
 実際今日は完璧に近い内容で、べジータのバントヒットのみに抑えている。
 だが、穴はある――プーアルはそう言った。
 その言葉を信じて打席に着く。そう、今日まだ露になっていない奴の弱点を突けば……!!

《4番 サード リクーム君》
 初球、内角低め沈み込むシンカー。ボールの判定。ボールカウント0−1
(……プーアルさんの言うとおりかもしれない…)
「やっぱりな……」
 プーアルの口元が緩む。
 2球目、真ん中から落ちる球。これも外れる。カウント0−2
(変化球の曲がりが大きくなってきてる…)
 プーアルは見越していた。この投手は一定の球数を放ると変化量が増すことを――
「キャッチャーはまだうまく変化に対応出来てねーな…次も外れる。ヤムチャさーん、出番が近いですよ」
 3球目、内角高めに抉り込むシュート。外れる。0−3
(当然、次は――)
 リクーム、バットを握る力を強める。
「リクーム!! 思いっ切り力めー!! ぶち込んじまえ!!! 」
 プーアルさんの言葉で、リクームの気は不思議と軽くなった。
(そうだ、もう、来る球はわかってる。唯一打てる……)
 4球目――真っ直ぐド真ん中!!
(ストレート!!! )



147 名前:Classical名無しさん[sage] 投稿日:03/10/03 18:14 ID:uFxw73To
全力スウィング。次の瞬間、電光掲示板に何かがぶつかる音がした。そして――
 ウワアアァァァッッ……!!!!!! DB高応援席、歓喜の歓声が響きだす。
 電光掲示板が示す。

 0      2
    →   
 1      1

(このホームランは僕の手柄じゃない…プーアルさんのものだ!! )
 リクーム、万感の思いを込めて、ハイタッチ。9回表、DB高逆転!

「ヤムチャさん、オッケー? 」
「おお、いけるぜプーアル!! 」
「あ、そうすか。審判、ピッチャーセルに代わってヤムチャ」
 プーアルが投手交代を告げる。
(アレ? おれが監督じゃなかったか? )
 ヤムチャ監督兼部長兼キャプテン兼抑えのエース兼レモンの砂糖漬け作成係は、どこか釈然としない
 思いを抱えながらマウンドに上がった。次回、ヤム(ryの魔球が放たれる――



230 名前:都立DB高校野球部[sage] 投稿日:03/10/13 16:15 ID:xkacZ7as
>>147

 球場がザワつく。九回裏、マウンドに登るヤムチャ監督兼(ryを見ての反応だ。
 疑問の残る采配だ。セルは好投していた。失点は初回の一点のみで、あとはノーヒットに抑えていたのだから。
「プーアルさん…ヤムチャさんを使う意味はあるのですか? 僕、まだいけますよ!!」
 セルも納得がいかない。当然のことだ。プーアルは
「まあ、抑えのエースだからな…あの人ならまず間違いなく抑えられるから、我慢しな。チームの為だ」
「くっ!!」
 手に持つタオルを地面に叩きつけ、セルはベンチ奥に引き下がった。
 他の部員も、プーアルに疑問の目を投げかける。皆、納得がいかないのだ。
 何故、エースのセルが好投しているのに代えられなくてはならないのか…?
(ヤムチャさん…ナメられてますよ。払拭してください。10球で、片付けなさい)

「どうだ? オレの球!?」
 ヤムチャの問いかけに、無言で答えるキャッチャー・フリーザ。
(プーアルさん…ホントに大丈夫ですか!? 球が全然違う…セルとは比べられません!!)



231 名前:都立DB高校野球部[sage] 投稿日:03/10/13 16:16 ID:xkacZ7as
――プーアルさんは、オレに言った。
「ヤムチャさんにはどんな球でも要求して構わないぜ」
「いえ、何故セルを代えねばならないのか、と……」
 オレはセルの力を一番良く知っている。アイツはヤムチャさんとは比較にならない好投手だ。
 何か、ヤムチャさんに一つでもセルより上回る部分があるってのか!?
「ヤムチャさんのスピード・コントロール・球威・球のキレ・ノビ・フィールディング…確かに、どれをとってもセルにゃあ敵わねェな」
「なら、何故抑えのエースをやらすんです!?」
「まあ、俺の言うことを聞けよ…必ず抑えられるからさ。」
 プーアルさんは、いつものように自信に溢れた顔で言い切った。

「プレイ!!」
《池山高校・3番…》
 プーアルさんの言ったことが間違っていたことは無い…ならば、信じて要求するしかないっ!!
 今まで見てきたところ、この3番の弱点は…外角の真ん中ら辺。粗いスウィングだから、うまく捌けていなかった。
(さあ、ヤムチャさん、ここです、寸分狂わずここに!!)
(よっしゃあ…そこだな?)
 ヤムチャ、振りかぶり、投げる。球は浮き上がっているように見える。
 カーブのような変化か…? そして、スライドして沈む。
(どこに投げてる!? このままじゃ地面に――)
 その時――地面に接触しようという刹那――、球は、確かに浮いた。
 そして、上昇運動を継続したまま、要求どおりのコースに突き刺さる。
「スッ…ストライーク!!」
(なんだァ…? 浮い、た……? 地面に叩きつけられる瞬間に、浮いて、曲がってきた?? )
 プーアルはほくそえみ、他の部員に聞こえるように大声で言った。
「  こ  れ  が  操  気  球  よ  !  !  !  !  」



261 名前:Classical名無しさん[sage] 投稿日:03/10/18 13:53 ID:RWtivpKE
>>230-231

 地面スレスレで浮き上がり、渦を巻き、一瞬止まり、最後はストライクゾーンに入る。
 操気球のバリエーションは無限大。
「ストラィーク!! バッターアウト!!」
 3番加藤は、為す術も無く三振した。
(なんだ、あの球…常識を超えてる!! ゼッテーイカサマだよぉ…)
 フリーザはこの球の存在を知らなかった。
(ヤ…ヤムチャ監督(略)にあんな隠し球があったなんて…!! こりゃあ、この回だけで攻略するのは無理だ!)

「ふっ…あと七球でキメろよ、フリーザ。決して余裕な訳じゃねえんだ」
 プーアルには不安があった。しかし、勝利を収める自体に疑いは感じなかった。
 
「ヤムチャか(略)!! いいっすよあの球! もう少し遊んでいきましょう」
「遊ぶって…何?」
「もう少しボール球も絡めて行こうってコトです。そうするとより安全です」
 ヤムチャ監督兼部長兼キャプテン兼抑えのエース兼レモンの砂糖漬け作成係は
 何が安全なのかは理解出来なかったが
「分かった!!」
 と答えておいた。

《4番・サード竹之内君》
 池山高は、打線は強力ではないが、こいつは別である。
 高校通算38本塁打の強打を誇り、主将を務める男でもある。
 セルが唯一獲られた一点は、この男のホームランによるものであった――
(操気球はスゴイけど…万が一当たればスタンドだ。セルの球でさえ運ぶのだから、ヤムチャさんの球なら海まで飛んでいってしまいそうだ…)
 フリーザは、ミットをかなり際どい所に構えた。このコースなら当てられてもスタンドまではいくまい。そう思ったからだ。
(そーだなー…バッターの頭上を遥か越えて、急激に落ちてきて、んでモーレツにスライド回転させて…よしそうしよう)
「行け!! 操気球!!! どーん!!!」
 手から離れた瞬間、浮上を開始する操気球。
 まるで回転運動を示していない。
 竹之内は微動だにせず、ただ前を見つめている。その眼光は鋭い。



262 名前:都立DB高校野球部[sage] 投稿日:03/10/18 13:54 ID:RWtivpKE
(球を眼で追わない? どういうことだ…?)
 フリーザに一抹の不安がよぎる。
 だが、そんなことはお構いなく、球は変化を開始する。
 ピタリと止まり、そのまま縦に垂直落下。
 そして、急速に回転運動開始。スライド回転をし、ミットの中へ――
 竹之内は右打者なので、外から内に切れ込んでくる感覚である。
 そして、ミットに収まる刹那、バットが微動する。しかし、見送る。
「…ストライク!!」
 微妙なコースでしばらく迷った審判だが、結局ストライク。

「馬鹿野郎が……!! おい、豚! 伝令行って来い!!!!」
 プーアルの怒号にビクつくウーロン。
「はッ…はいイッッ!!!! 何と伝えてくれば宜しいでしょうかッ!!?」
「それはな――――!!!!」

「でっ、伝令頼みまーす!!!」
 そう言ってマウンドに向かうウーロン。タイムがかかる。
「どうしました? 別にマズいところは――」
 フリーザには、プーアルの意図が分からなかった。
「いっ…いいか!? そのまま言うからな!」
 ウーロンは大きく息を吸い込み
『遊ぶな!! お前らはただ何も考えずストライクゾーンに投げ込みゃあいんだよ!! あと6球で片せ!!』
 それだけ言い切って、ウーロンは下がった。ベンチ前でプーアルに足蹴にされていた。
「可哀想な奴だなー…」
 ヤムチャがいった。
(アンタも…)「ヤムチャさん、次は――」
 フリーザは驚愕した。打席の竹之内を見たのである。
「スイッチヒッター、だったのか…」
 竹之内は、左打席に変えていた。
(あの球を打つにはこの方が都合がいい。どちらかといえば、だがな――)
 操気球は危機を迎えつつあった。 

264 名前:都立DB高校野球部[sage] 投稿日:03/10/18 19:32 ID:uUwM1bEg
それは次の更新で…まあ、大した理由じゃないですけど。



320 名前:都立DB高校野球部[sage] 投稿日:03/10/26 13:00 ID:mrB6Fu2g
>>261-262

「スイッチヒッターだったのか…」
戸惑うDB高校ナイン。

「おいおい…こりゃあ……」
プーアルの眉が少しせり上がる。
「コイツ、ホームランの大半を左で打ってやがる…打率も…そうか、間違いない
 封印していやがったな……!? 手を抜いていやがったな!!」

(今後上のレベルでやっていくのなら、弱点は潰しておかねーとな)
元々竹之内は左利きで左打ちだった。それを、さらに高い次元に自らを到達させるために
強引に右も打てるようにしたのである。しかし、決して完全ではない。
(それに…引っ張りの方があの球は打ちやすい)

「ヤムチャさん、嫌な予感がします。前とは違うコースに」
あれは危険だ――フリーザの直感が告げていた。
「面倒だから一球目と同じでいいよ」
「ええ!!?」
危険だってのに…しかし、一年のフリーザが二年で監督兼(ryのヤムチャに進言することは困難であった。

「操気球!! ッけェェ〜〜!!!」
ヤムチャの左手から球が離れる。一球目と同じ球筋。
(どんな凄いバッターだろうが、操気球を打てるわけないぜ!!)
「バカッ!! 危ねえ!!! 変化を変えるんだ!!」
プーアルの必死の声も、ヤムチャ(ryには届かない。簡単に言うなら、チョーシぶっこいてるのである。
その時、受けるフリーザは戦慄いていた。
(なんだ…竹之内の体から湧き出てくるように見える、この気迫は!? ヤベエ!!)
竹之内は、初球と同様の変化を歩んでくる二球目を凝視する。グリップを力強く握り締めながら――
(タイミングを誤るな…タイミングを、誤るな……!! 的確に引っ張りをかけるんだ!!)
球が落ちてくる。そして、急速なスライド回転――来る。
(もう少し、もう少し引き付けて…今!!)



321 名前:都立DB高校野球部[sage] 投稿日:03/10/26 13:00 ID:mrB6Fu2g
竹之内の豪腕が唸る。バットはそれを正確に伝える。
全ての力が結集した、理想的なバッティングフォーム。
「力」は、ボールと対峙する。結果は、もう言うまでも無い。

           ガッキ―――――――ンッッ!!!!!!

((やられたッ!!))
フリーザとプーアルは悪い予感の的中に慄いた。
(なんで!?)
ヤムチャ(ryは、心底意外だったので無茶苦茶驚いた。
ボールは、ライトフェンスギリギリを飛んでいく。
「ファウルになりやがれ〜〜〜〜!!!!」
「おれの逆転勝ち越しホームランが無駄に!! 外れろ〜〜!!!」
部員達の悲痛な願い。確かに、そう願う余地のある、微妙なコースであった。
ボールは、場外へ消えていく。ギリギリだ。一塁線上審判もなかなか結論が下せない。
(正直…ファウルだ)
既に二塁上に達していた竹之内は、そう思っていた。
「……………ファール!!!」
ざわっ…わあっ!! 生か死か――野球の神は、DB高を救った。
竹之内のスウィングがあまりにも速過ぎた。よって、わずかに切れた。
しかし、脅威は依然として続く。竹之内も次はカンペキに合わせてくるだろう。
(操気球が…打たれちまった……)
操気球は、ヤムチャ(ryの望みの綱。これが通用しないのなら、そこらの雑魚同様である。
(こうなったら…あれしか)



322 名前:都立DB高校野球部[sage] 投稿日:03/10/26 13:01 ID:mrB6Fu2g
「失策だったか…? セルを下げたことは!?」
一度ベンチに下げた選手はもう使えない。プーアルはビビっていた。
「操気球は通用しねえ…アイツは集中力がすげえ。変化を変えても同じことになる…」
マウンド上にナインが集まる。しかし、集まったところでどうにかなるものではない。
現状では手が無いのだ。抑える手が――
「敬遠しちゃえばいいですよ!! 次のバッターと勝負したら…」
「しかし、塁は埋めたくない。操気球はあと何球も使えないし、代わりのピーもいない…」
「あーあ。天津飯がセルと代わってればこんなことには…」
「なんで俺なんだよ!?」
「みんな!!」
紛糾する場に、ヤムチャの声が響く。それは力強さに満ちていた。
「大丈夫だ、竹之内は抑えられる。その次のバッターまでは保証出来ないが…とにかくッ、俺を信じろ!!!」
いままでにないほど声を張り上げるヤムチャ(ry。
「は…はい……」(こんなヤムチャさん、はじめて見た……)

再び元の守備位置に戻るナイン。
「ヤムチャさん、一体どうやって抑えるんです?」
フリーザはヤムチャ(ryに問う。自分では、何も抑える手立てを見つけられなかったのだ。
正直、他のみんなと同じように、敬遠をするしかないと、彼もまた思っていた。
「ビックリするかもしれないが…俺に任せてくれ。絶対にアイツだけは抑えるから」
                                  ・・・・・・・・・・・・
その言葉の意味を、まだフリーザは知ることは無かった。



349 名前:都立DB高校野球部[] 投稿日:03/11/02 14:46 ID:z7nIoHB6
>>322

(一体、ヤムチャ監督はどうする積もりなんだ…?)
フリーザはこの男を抑える術を持たなかった。しかし、そんなことは関係ないのだ。
結局、操気球がどう変化してくるかはヤムチャ監督兼以下略の一存で決まるのだから。
ボールカウント2−0。九回裏一死走者無し。
仮に同点にされたとして延長がある――部員の多くはそう思ってはいなかった。
プーアルがセルを下げ、抑えのヤムチャを投入した以上、それ以上のゲームは無い、ということ。
即ち、ヤムチャで終らなければ、この回で終らなければ、夏は終る。
部員達の思いをその左肩にのせ、ヤムチャは構える。
最も、ヤムチャがそれを明確に感じ取っているかは誰にも分からないのだが。
体を捻り、それと同時くらいに右足を振り上げる。体を沈め、腕をぶんと振る――。
手から放たれた球は、ただ真っ直ぐにミットの中心に向かった。
ストレート。球速は恐らく並かそれ以下の。
大した迫力も感じさせないその球が、ゆっくりとミットに近付いてゆく。
(ヤムチャさん……ッ!! 早く変化させて下さい!)
フリーザはそう願うが、叶う様子は一向として見えない。
ひょろひょろと、直球で動く。動く。
「ヤムチャ〜〜〜〜〜!!!!!! 曲げんかい〜〜〜〜〜!!!!!」
ベンチで豚を蹴り上げながら怒鳴るプーアル。
(なんだ…曲がってこないのか? そんじゃあ)
竹之内は、金属バットをまるで傘を振り回すかのように軽やかに扱った。
それは、ボールを的確に捉え、センター方向にかっ飛ばす。
観客、テレビ観戦、インターネット観戦――ラジオは除く――これら全ての人に確信させる。
ホームラン―――――――。



350 名前:都立DB高校野球部[sage] 投稿日:03/11/02 14:46 ID:z7nIoHB6
(終った……ッッ!!!)
部員以下野球部を良く知るもの全てが、諦めて下を向いた。
その時、ヤムチャ以下略が、スッ、スッ…と右人差し指を
バックネット裏側に愛撫のように微動させていたことに気付くものは無かった。

センターのナムもご多分に漏れず、下を向き涙を流していた。
飛球はまだ二塁上にあったのに、もう諦めてしまっていた。無理も無いことだ。
当たった瞬間分かりきっていた。場外までいくだろうことを。
しかし、段々と飛球は勢いを失っていた。急激に失速し、落ちてくる。
その頃には、フリーザは気付き始めていた。
「あっ…!! ヤムチャさんッ!!」
「話しかけんな…。まだ、まだだ!!!」
ヤムチャの右人差し指が激しさを増すほどに、ボールの勢いは落ちて行く。
その顔は紅く染まり、体から汗が噴出す。まるで、ヤムチャの体から何かが抜けてゆくようだった。
上を向いていたセカンドのべジータがようやく気付き
「ナム―――――!!!! 上を向けッ!!!!」
ナムはハッとして空を仰ぎ見る。
空には、最初に勢いはどこへやら、ふらふらと落ちてくるボールが見えた。
やがて、その球はナムのグラブの中へ――。

「そうか…わざと打たせて、空中で操っていたのか…あれは、ストレートじゃない、操気球だったんだ…」
プーアルはベンチで呟いていた。しかし、ヤムチャのあの様子…。
「これは、まだ気ィ抜けんな……」