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神龍航空隊戦記



プロローグ

14機の濃い緑色の塗装の戦闘機が滑走路に続々と着陸する。
どの機も機体に銃撃による損傷を受けていた。
一番機に乗っていたヤムチャ大尉が機体を降りる。
すると、司令部のある建物から兵士が1人やってきた。
「ヤムチャ大尉。チャパ長官がお呼びです。」
「長官が?何の用なんだ?」ヤムチャは汗をぬぐいながら返事をした。
この基地のある武天王国は南の海上に浮かぶ熱帯気候の島国である。
平均気温は4月現在ですでに30度に近い。
真夏になれば最高気温が40度を越す日もまれではない。
そうでなくても、いまヤムチャはここから
北の海上でこの武天王国を空襲しようとしていた
敵国・レッドリボン共和国の空軍部隊と航空戦をやってきたばかりなのだ。
「さぁ…よくわかりませんが」ヤムチャの問いに兵士はそう答えた。
ヤムチャは基地の宿舎でカーキ色の飛行服から
明るいブルーの空軍将校の軍服に着替えると司令部に向かった。

今、この武天王国はレッドリボン共和国の攻撃を受けていた。
レッドリボン共和国は武天王国から海を越えて北にある大陸にある国だ。
建国はエイジ702年、今より63年前に建国された。
建国当初は民主主義国であったが、
エイジ749年に軍の大統領親衛隊隊長だったレッドが
クーデターで政権を奪ってからはすっかり変わってしまった。
レッドは終身大統領の座に着いた後、自分に逆らうものを粛清し、
議会を解散し、全権を自分の手に集めた。
さらに軍の近代化及び機械化を推し進め、わずか10年の間に
レッドリボン共和国を世界有数の軍事大国にまで成長させた。
このあたりから彼の専横はますます酷くなり、
エイジ658年にはそれまでの国名である「リボン共和国」に
自分の名前を加えて「レッドリボン共和国」としてしまった。
そしてエイジ660年、強大な軍事力を背景に近隣の国に侵略を開始した。
武天王国は開戦当初、658年にレッドリボン共和国との間に結ばれた中立条約によって
中立を保っていたが、エイジ664年の春にレッドリボン共和国は
中立条約を無視して武天王国に宣戦布告した。
武天王国は一応開戦の準備をしてはいたが、急な宣戦布告であったため、
開戦当初は苦しい戦いを強いられていた。
664年の年末になってようやくこちらが優勢になりつつあったが、
665年の2〜3月あたりから敵は新型の兵器を次々と前線に送り出し始め、
再び武天王国は劣勢に立たされた。
ヤムチャ大尉がこの基地の司令長官であるチャパ中将に
呼び出されたのはそんな時であった。

ヤムチャが率いている部隊は二〇三飛行隊といい、
武天王国の主力戦闘機、「ドドンパ」戦闘機から構成されている部隊である。
この日、ヤムチャの部隊は北から武天王国を空襲しようとしていた
レッドリボン軍の空軍部隊を迎え撃った。
それは爆撃機25機と爆撃機を護衛する戦闘機20機からなる部隊であった。
ヤムチャの部隊はその空襲部隊と交戦、爆撃機8機と戦闘機3機を撃墜し、
敵を退却させたが、ヤムチャの部隊も4機を失った。
また、ヤムチャの搭乗機の機体を含めて帰還した全ての戦闘機が
機体のどこかに損傷を受けている。
そのうち2〜3機はよく帰って来れたと驚くほど酷い目にあっている。
ヤムチャの部隊は殆どが開戦以前から戦闘機に乗っている
ベテランのパイロットである。ここまで酷い目にあったのは、
相手の航空機の機体がこっちの機体より優れているからである。
たとえば戦闘機。ヤムチャの部隊で使っている「ドドンパ」戦闘機は
全長10mの単発(エンジンが一個)の戦闘機で最高速度516キロ、
航続距離は1300キロ、武装は7.7ミリ機銃2丁と13.5ミリ機銃2丁である。
一方で、レッドリボン軍の現在の主力戦闘機「ナッパ」は
全長17.8mの大型の双発(エンジンが翼の両側にそれぞれ1個づつある)の戦闘機で、
最高速度578キロ、航続距離2278キロ、武装は17.8ミリ機銃4丁に加え、
250キロ爆弾を1つ積む事ができ、爆撃機としても使用可能である。
このナッパ戦闘機が戦線に投入されてから、
急速に被害が多くなり、それまで優勢だった武天王国軍は劣勢に立たされた。
ちなみにそれ以前の主力戦闘機である「ラディッツ」は
全ての性能でドドンパ戦闘機より劣っていた。

ヤムチャはチャパ長官のいる部屋のドアをノックし、部屋に入った。
チャパ長官は何かの書類に目を通していた。
「おお、ヤムチャ大尉。ご苦労さん。今日の戦いはどうだった?」
「爆撃機8機と護衛の戦闘機を3機落としました。」
「ほう、それはよくがんばった。」
「ですが長官、この1、2ヶ月の間で敵は戦闘機を新型のものに変えてきました。
そのせいでこの基地の航空戦力は壊滅直前です。
2週間前に餃子中尉の部隊が出撃したときは、
彼の機を含めて16機中9機が帰ってこなかったのですよ。
今日の戦いだって、私の部隊は18機中4機が帰ってきませんでした。
帰還できた機体でも2〜3機はもはや廃棄しなければならないくらいの
損傷を受けているのです。長官、この基地の稼動戦闘機数をご存知ですか?
あとこの基地で動きそうな戦闘機は14〜5機くらいしか残されてはいないのですよ。」
「ほう、そうなのか。」チャパ長官は他人事のように答えた。
ヤムチャはチャパ長官に激しい怒りを感じた。
チャパ長官はかつてこの国の国王であったチャパ王の孫、
つまり王族という出自だけで中将になれた男である。
小さいときに流行病で両親をなくし、孤児院に預けられ、
金が無いのでただで勉強できる空軍の士官学校に入り、
そこから空軍大尉まで這い上がったヤムチャとは全く正反対の男である。
チャパ長官には昔から人を人と思わぬようなところがあったが、
まさか自軍の被害を他人事のように答えるとはヤムチャも思っていなかった。
だがヤムチャはトラブルを起こさぬようにと怒りをぐっと抑えた。

チャパ長官はしばらくしてヤムチャにちょっと前に届いた通信文を手渡した。
「君への命令書だ。至急首都の空軍総司令部に出頭せよとのことだ。」
ヤムチャは命令書を受け取ると長官室を後にした。
翌日の昼、ヤムチャは基地から600キロ東にある
首都・キャピタル市の空軍総司令部に出頭した。
ヤムチャが受付で命令書を見せると、人事局の課長が現れ、
午後3時まで待つようにヤムチャに言った。
ヤムチャは受付の女性と話をしたりして時間をつぶし3時まで待った。
そして3時になるとさっきの課長がまた現れ、
ヤムチャを人事局の一室に案内した。
「ヤムチャ大尉、ただいま出頭いたしました。」ヤムチャは敬礼する。
部屋には3人の男が椅子に座っていた。1人は三つ編みの男、
もう1人は三つ目のハゲの男、そして最後の1人は額に6つの斑点のついた
坊主頭の男であった。課長が3人を紹介する。
「こちらの三つ編みの方は人事局長の桃白白少将、
そちらの三つ目の方は空軍作戦部の参謀の天津飯大佐、
あちらのハ…いや、丸刈りの方の方はクリリン中尉です。」
「ご苦労さん。ヤムチャ大尉。君のいた基地の様子はどうかね?」
桃白白少将は尋ねた。
「敵の最新式戦闘機の投入で私のいた基地の航空戦力は壊滅寸前です。
あと2,3回の出撃が限界でしょう。航空機とパイロットの補充をお願いできますか?」
「うむ、噂で聞いていた以上に事態は深刻だな。
近いうちに後方のヤッホイ基地の航空兵力をそっちに進出することになっている。
あと、チャパ中将には後方の基地に移っていただき、
ナム少将を基地司令長官に任命しようと思っている。」

「ありがとうございます。ところで、私をお呼びになったのはどういう理由ですか?」
「君に六〇四航空隊の隊長になって欲しい。六〇四航空隊を知っているかね?」
「いいえ、知りません。一体何の部隊ですか?どこに駐屯しているのですか?」
「六〇四航空隊はパパイヤ島基地に赴任する戦闘機の航空隊だ。」
「パパイヤ島基地ですって!?」
パパイヤ島基地は武天王国の本土から300キロ北の海上に浮かぶ
武天王国とレッドリボン共和国の中間地点にある武天王国領の島である。
かつては国際的なリゾート地として有名であったが、
戦争が始まってからは地元住人は全員本土に疎開し、
また、レッドリボン軍による空襲で市街地の一部は焼け野原になっている。
まさに最前線と呼ぶにふさわしい島である。
「実は六〇四航空隊はわが軍の開発した最新式の戦闘機の部隊なのだ。
詳しいことは天津飯大佐に聞いてくれ。」
天津飯が説明を始めた。「六〇四航空隊は『神龍航空隊』という名がつけられている。
任務は爆撃機の護衛、及び基地の防空を固めることだ。」
天津飯はヤムチャに尋ねた。
「ヤムチャ大尉。神龍飛行隊の隊長を引き受けてくれるか?」
ヤムチャは天津飯に敬礼すると
「わかりました。ヤムチャ大尉、
たった今から神龍航空隊隊長に着任いたします。」と言った。
「よし、では、ヤムチャ大尉、クリリン中尉、
君たちは今からこの街の郊外にある空軍基地に向かってくれ。
そこに君たちの乗る戦闘機と新しい部下達が待機しているはずだ。」
ヤムチャとクリリンは部屋を出て、
用意されていた軍の乗用車に乗り込み、基地に向かった。



第1話 出撃


「へぇ、こいつが『ベジータ』か、『ドドンパ』より1回りも大きいなぁ。」
新しい愛機と部下の待つ郊外の基地へ行ったヤムチャとクリリンは
整備兵に武天王国の最新式戦闘機『ベジータ』を見せてもらった。
『ベジータ』は全長13メートルの双発(エンジンが翼の両側に1個づつ付いている)戦闘機で、
最高速度が624キロ、航続距離が3600キロ、乗員は操縦士、
爆撃士(隊長機、副隊長機は無電士も兼ねる)、後方機銃士の3人、
武装が機体前方に20ミリ機銃2丁、機首に30ミリ機関砲2丁、
機体後方に可動式の37ミリ機関砲、さらに250キロ爆弾2個か
500キロ爆弾1個を積めるという重戦闘機である。
「すげー、これならドドンパの時よりマシになるどころか、
大戦果を挙げられるぜ。」とヤムチャは嘆息しながら呟いた。

その日の晩、基地でヤムチャとクリリンの隊長・副隊長就任パーティが行われた。
ヤムチャは隊員たちと酒を飲み交わしながら、親交を深めた。
それから3日間、ヤムチャをはじめとする神龍航空隊の隊員たちは
ベジータ戦闘機の開発者やテストパイロットによる講義を受け、
どうすればこの戦闘機の性能を引き出せるかをしっかりと教わった。
ヤムチャが隊長になって4日目の朝、神龍航空隊の隊員たちは
飛行機の格納庫から引き出されたベジータ戦闘機に乗り込んだ。
ヤムチャと一緒に乗り込むのは爆撃士兼無電士のパンプット上等飛行兵と
後方機銃員のウーロン二等飛行兵である。
エンジンを点けると飛行機のプロペラがゆっくりと回りだした。
次第にプロペラの回転速度が上がっていく。
しばらくすると、滑走路の誘導員が手に持った旗を振り下ろした。
離陸許可の合図だ。
ヤムチャはブレーキのレバーを倒し、アクセルを全開にした。
機体はゆっくりと前に進み始めた。次第に速度が上がっていく。
ヤムチャは機体の速度が250キロを越えたあたりで操縦桿を
ゆっくり手前に引いた。機体が地面から離れる。
ヤムチャは高度1000メートルまで昇った後、
クリリンや他の部下達の機が上昇してくるのを待った。
神龍航空隊の飛行機の数は全部で36機である。
それから20分後、36機全部が集合した。
ヤムチャは全機が集合したのを確かめると
機体をパパイヤ島のある方向に向けた。
(ベジータ戦闘機の巡航速度は約400キロ、
パパイヤ島までは1000キロあるから2時間半あれば着くだろ。)
ヤムチャはそう思った。