第一話〜とてつもない絶望〜
悟空が優勝した天下一武道会から時が流れ―――― 飲茶もプーアルと共に気楽な生活を送っていた。 「少し買い物に行ってくるから、留守番を頼む」 プーアルに言い残し、何気に出かける飲茶。その時! ――――凄まじく、更にあのピッコロ大魔王さえを小さく感じる気―――― 「な、何だ・・・このとんでもなく大きい気は・・・」 その大きな気に、更に大きい気が二つ近づこうとしている。 大きな気に向かって飛ぶ飲茶。嫌な予感が止まらない。 飲茶がその場に到着した時、ちょうど二つの気も到着したところのようだった。 すなわち、悟空、ピッコロ。 「おいっ!オラの息子を返せ!」 悟空の怒号が響き渡る。その正面には、人が入れるぐらいの球体。 その前には、とてつもなく大きな気。 「ご、悟空、誰だこいつは・・・。お友達、と言う感じでは無さそうだが・・・」 「飲茶か・・・へへ・・・とんでもねえ所に来ちまったな・・・ あいつにオラの息子を誘拐されちまってよ・・・今回はかなりヤバそうだ・・・逃げたほうがいい。」 悟空に息子――――本来なら祝うところだが、そう言う雰囲気ではない。 悟空、ピッコロはそれぞれ上着を脱ぎ、戦闘体制に入っている。 「戦闘力、416・・・408・・・それに177か・・・フン、ゴミ共が・・・」 明らかに足がすくむ飲茶。自分に手に負える相手ではない。 戦いは始まる。絶望的な戦闘。あっという間に戦況は長髪の男に傾く。 悟空とピッコロ。どういう経緯で手を組んだのかは分からないが、 この二人でさえも軽くあしらわれている。悟空が大きく飛び上がる。 その時――――飲茶が動いた! 「か・・・め・・・は・・・め・・・」 ピピピ・・・ 「!?戦闘力924・・・こいつら、戦闘力を自在に操りやがる!させるかっ!」 その時、飲茶が飛び出す! 「ちくしょう!くらいやがれっ!狼 牙 風 風 拳 !」 刹那、長髪の男の気がそれる。 「くっゴミが!」 「はーーーーーーー!!!!!!」 ガガッガッ 飲茶の猛攻を片手でいなし、かめはめはをその男は片手で弾き返した。 ピーーーーーーーーー 「戦闘力1330・・・!全ての戦闘力を指先だけに集め・・・!」 「魔 貫 光 殺 法 ! 受けてみろーーーーーーー!!!!!」 ズギュルルルルルルルルゥゥゥゥウウウウ グシャッ 光線は長髪の男の肩の辺りを貫き、飲茶の頬をかすめ、遠くへと消え去る。 「な・・・あのスピードを・・・」 ガッ 青ざめる長髪の男。と飲茶。 我に返った男に蹴り飛ばされる飲茶。吹っ飛ぶ飲茶。悟空を巻き込み倒れる飲茶。気を失う飲茶。 ――――暗転―――― 気が付くと、真正面で男は羽交い絞めにされていた。遠くには倒れている子供が一人。 男は後ろを向いている。目はかすむが、気は捕らえれる。 好機! 飲茶は手の平にエネルギーを集中させ―――― 「食らえ!操気弾!」 と、心の中で叫ぶと、羽交い絞めにされた男の頭を超え、ブーメランの様に180度回転させる。 「何っ!?」 男は予想外の衝撃をみぞおちに食らい、よろめき、後ろの男は衝撃で横に吹っ飛ぶ。 「良し!」 その瞬間――――飲茶の腹部を何かが貫通する感覚が襲う。 「・・・・・・?」 訳も分からず倒れこむ飲茶。前で男も倒れている。 意識が無くなる前に耳に入った最後の記憶は―――― 一年後の長髪の男より強い奴らが二人も来る、と言う最悪のものだった――――
ボロボロになった悟空はピッコロに向かって言う。 「すまねえが、悟飯をオラの体が治るまで預かっててくれねえかな・・・ こいつの力は、きっと一年後、大きな戦力になる。」 「いいだろう。育ててやるぜ・・・とびっきりの魔族にな。」 「ああ・・・頼むぜ。」 言い終わると、悟空は気を失い、ピッコロは悟飯を連れ去り、遠くへと消えていった。 「悟空!大丈夫か!?」 クリリンの呼び掛けに、気が付く悟空。 今までの成り行きを説明する。 ラディッツとの戦い。悟飯の予期せぬ潜在能力。何故か紛れ込んだヤムチャ。勝利。 そして――――ヤムチャの死―――― 気を失うブルマ。 「悟飯ちゃんは何処行っただ?」 悟空の説明に、ブルマの横に倒れこむチチ。 その後、天津飯、チャオズは神様の下で、悟飯はピッコロの元で修行を行い、 半年後、全開した悟空はピッコロ達と合流し、凄まじいばかりの修行を行った。 その頃ヤムチャは・・・。 第四話「ヤムチャ、界王星へ」 へ続く。
ヤムチャはその頃、神様と共に、閻魔大王の前に立っていた。 「何とか、こんな俺でも皆の役に立てる様になりたいんだ!」 ヤムチャの決意を見て取り、神様は一つの手段を伝える。 「界王星へ行く事が出来れば、あるいは・・・」 「と言う訳で、閻魔様。この者を界王星へ・・・」 「む・・・本当に大丈夫かのう・・・それに、貴様、死ぬ前に大分悪さをしておったようじゃが・・・」 考え込む閻魔大王。それはそうだ。盗賊を生業にしていたと言う事は当然伝わっている。 「まあ、やってみろ。どっちみち駄目だったら地獄行きだからな。」 「あ、ありがとうございます!」 「一応、一年後に蘇らせてもらえるように言っておくからな。」 神様は投げやりに言うと、帰っていった。 こうしてヤムチャは蛇の道を走っていった・・・。 第五話「界王星到着!そして・・・」へ続く。
蛇の道をひた走る事、数ヶ月・・・ついに界王星は、ヤムチャの侵略を許してしまった!! 「な・・・何だ、ここは・・・やたらと体が重くて、立っているのも苦しい・・・」 サルが踊っていたり、ハチが飛んでいたりと、シュールな光景が広がっているのだが、 それに構っている余裕すらもヤムチャには無かった。そこに・・・ 「誰じゃ、お前は。」 「お、お前こそ誰だ?君の悪い肌の色しやがって・・・ピッコロが可愛く見えるぜ・・・」 「わしか・・・わしの名は・・・かい〜お、かい〜お・・・界王じゃ。」 爆笑するヤムチャ。脳のレベルは同程度なのであろうか。 「ふふふ・・・中々センのいいヤツじゃな・・・ところで、何をしにここへ来おった?」 「あのですね、今、地球が大変な事になっちゃってるんで、強くしてもらえたらな〜、なんて・・・」 急にへりくだるヤムチャ。激アマである。 「そうか・・・ならば、テストを受けてもらおう。このわしを笑わせてみろ!」 少し考えるヤムチャ。その後・・・ 「いたづらはいやずらっ!!」 ドーーーーーーーーーーン!! 「そ、そのシャレは、まさか伝説の・・・まあいい・・・とにかく合格じゃ・・・」 「で、では・・・」 「良かろう!教えてやろう!究極のシャレをおまえn」 「強くしてくれって言ってるだろうがっ!」 セリフの途中で頭をスリッパで叩くヤムチャ。 「ふふふ・・・中々筋がいい・・・」 この後、界王様に趣旨を理解させるのに、丸三日を要したのである。 第六話「修行完了」へ続く
ヤムチャの片手にエネルギーが宿る。 気合と共に大きなレンガが砕け散る。 「おお・・・まさか、お前が元気玉をマスターしようとは・・・」 未だ信じられない顔の界王様。 ヤムチャの修行は想像を絶するものであった。 その結果、ヤムチャは見事、界王拳を覚え、元気玉も使えるようになったのだ。 「よくやったヤムチャこれで後は一ヵ月後の・・・ああーーーーーーーーっ!!」 界王様、痛恨の計算ミス。今から蛇の道を走って、ヤムチャが一ヶ月で間に合う事が出来るのか。 「武天老師様!!」 界王様を通じて、急いで蘇らせてもらうヤムチャ。そして・・・ 「ヤムチャよ。お前は、不本意ながらもわしよりも強くなった。 しかし、来たるサイヤ人二人は、いずれもわしよりも実力が上なのじゃ・・・ 危なくなったら逃げるのじゃぞ・・・お前の笑いのセンスは殺すには惜しいからのう・・・」 「心配はいりませんよ。界王様。今までありがとうございました。」 界王様は気付かなかった。蛇の道を出発した時には無かった、ヤムチャの腰にぶら下がっているモノに・・・。 そして、地球はついに、二人のサイヤ人の侵入を許してしまった!! 無残に破壊された都・・・その気配を感じ取り、一斉に集結するZ戦士達・・・。 ついに、地球の命運を賭けた戦いが始まる・・・。 第七話「栽培マンVSZ戦士」へ続く。
「あちらさんそろってお迎えだぜ・・・ほう・・・ 戦闘力1300、1200・・・カカロットは2500か・・・一年前とはえらい違いだな・・・」 「おいナッパ。スカウターに頼るのは止めておけ。こいつら戦闘力を大きく変化させやがる。 弱虫ラディッツの野郎はそれに油断してやられやがったからな。」 まともに動揺するZ戦士達。 「まずはこいつとお相手頂こうか・・・ぐふふ・・・いい栽培マンが育ちそうだぜ・・・」 ボコボコッ 地上から緑色の生命体が六匹顔を出す。 「行けっ!栽培マン!!」 しかし、栽培マンはクリリンの放った光弾により殲滅させられる。 辛うじて生き残ったモノもいたが、ピッコロにやられ・・・ 「へっへっへっ、中々やるじゃねえか。これは少しは楽しめそうだぜ・・・」 気を開放するナッパ。揺れる大気。Z戦士達の間にも動揺が広がる。 ――――これほどまでとは―――― 第八話「ナッパの実力。と、忘れ去られたヤムチャ」へ続く
ギュン!!ズガッ!! 一瞬の内に切り落とされる天津飯の左腕。 翻弄されるピッコロ。動けない悟飯。 何とか動きについて行っているのは悟空と言う状況。 不意を付き、ナッパの後ろに回るチャオズ。 「さよなら・・・天さん・・・」 自爆するチャオズ。 煙る爆炎。安堵とも苦笑とも取れる顔で見上げるピッコロ。呻く天津飯。 しかし・・・煙の中から平然とした顔でナッパは出て来た。 背中をヤケドした程度のダメージしか見受けられない。 片手で気功砲を撃つ天津飯。 しかしナッパは殆どダメージを受けていない。 「む・・・無念・・・。」 その後も無謀とも思える戦いが続く。 尻尾を握るも通用せず、崩れ落ちるピッコロ。 気円斬をかわされ、吹っ飛ばされるクリリン。 悟空も明らかに分が悪い。向こうの攻撃が大振りなお陰で、 致命的な一撃は喰らっていないが、体力の消耗は激しい。 逆に、効果的な攻撃を与えても、ナッパはビクともしない。 悟飯を庇い、ピッコロも死んだ。 怒りに任せ、魔閃光を放つも片手で防がれ、蹴り飛ばされる。 悟飯、クリリンは戦闘不能。悟空もついにナッパに追い詰められていた。 第九話「ヤムチャ到着」へ続く
「や、やっと着いた・・・」 神様に送り届けてもらい、カリン様に仙豆を渡される。 凄いスピードで飛んでいくヤムチャ。 「く・・・とてつもなく大きい気が一つ・・・大きい気が二つ・・・小さい気が二つ・・・ 人数が合わない・・・くそっ、どういう事だ・・・頼む、間に合ってくれ!」 「む・・・!」 「どうしたよ、ベジータ。」 「スカウターの故障かどうかはしらんが・・・間も無くここにやって来るだろう・・・ 戦闘力3500程のヤツが!」 「なにィ!?」 ナッパも流石に疲労している。自分と同程度のヤツを相手にするのはキツい。 「だ、誰だ!?オラもそんなヤツ知らねえぞ・・・。」 「とにかく、カカロットは始末しておいた方が良さそうだな・・・」 ナッパはクチを開けると、閃光を放った!! 飲み込まれ、壁に叩きつけられる悟空。 「ぐへへ・・・とどめを刺してやるとするか・・・」 その時!! シュピッ 悟空の姿が消える。山の上で悟空を抱きかかえる人物。 「く・・・誰だお前は!」 「ハァ・・・ハァ・・・ちょ、ちょっと待って・・・急いで来たから・・・せめて次の話まで・・・」 ヤムチャはとりあえず、仙豆を悟空と悟飯、クリリンに食べさせ、自分も食べる事にした。 第十話「ヤムチャの奮戦」へ続く
「無理だ、ヤムチャ・・・おめえじゃアイツに敵わねえ。」 「まあ、黙って見ていてくれよ。俺もこの一年、黙って遊んでいた訳じゃない。」 飛びかかるヤムチャ。 「あの人・・・強いんですか・・・?」 素朴な疑問を投げかける悟飯。 「俺と同じぐらいの実力だったはずだが・・・気の質が大分変わっている・・・」 『変わった』ヤムチャに戸惑いを隠せないクリリン。 ズガッ ズガガガッ ブンッ ガスッ 同じぐらいの実力・・・ではあったが、矢張り疲労している分だけナッパは不利である。 大振りを繰り返すナッパは、スピードを駆使するヤムチャに苦戦を強いられていた。 「喰らえ・・・狼牙風風拳!」 ドドドドドドドドッ!!!! まともに食らい、岩に叩きつけられるナッパ。 食らったダメージに、体力の限界を感じたか、退いて行くナッパ。 「まさか、ベジータに任す事になるとはな・・・しかし、その前に・・・」 視線を移す。その方向には――――悟飯。 「カカロットのガキぐらいは始末させてもらうぜ!」 ギュンッ 「しまったっ!!」 油断をしていた。明らかにヤムチャは間に合わない。 ナッパの拳が悟飯を捕らえたと思われた、その瞬間・・・。 第十一話「闘いの序章」へ続く
ズガッ ナッパが宙を飛び、岩に叩きつけられる。 眼を開ける悟飯。眼前には悟空。 (カカロットのヤツ・・・どういう事か全快してやがる・・・ 今ので戦闘力もグンと上がったはずだ・・・となれば、ナッパに勝ち目は無いな・・・。) 飛び掛るナッパ。しかし、悟空は軽く攻撃をかわすと、腹を思いっ切り蹴り上げる。 空高く舞い上がるナッパの後ろに瞬時に回り込み、地面に叩きつける。 更に瞬時に移動し、ナッパを片手で持ち上げる。 ナッパを投げ捨てる悟空。 「死人が出てるんだ・・・コイツを連れて、さっさと帰れ!」 「フン・・・」 「ベ・・・ベジー・・・タ・・・」 ブンッ ベジータはナッパの腕を持ち上げ、空高く放り投げ、光弾を放つ。 「なっ・・・」 呆然とする悟空。同時に飛び上がるヤムチャ。 そして、腰に手をかけ、ぶら下げているモノを手に取る。 そこから出て来たのは、一本の山賊刀。 ヤムチャはそれを一閃し、光弾を切り裂いた! 手加減したとは言え、自分のエネルギー派をあっさりと防がれ、眉をしかめるベジータ。 「おい!何故だ!こいつはお前の仲間だろう!」 「動けなくなったサイヤ人などに用は無い。」 「そ、そんな・・・ベジーた・・・ひで・・・え・・・」 気を失うナッパ。 「・・・場所を変えよう。死人がいるんでな・・・。」 ベジータを促し、飛んでいくヤムチャ。後に悟空、ベジータが続く。 「ど、どうしよう・・・ボク達・・・」 「行ってみようぜ・・・役には立てないだろうけど・・・」 少し後、悟飯、クリリンもヤムチャ達の後を追った。 「それにしても・・・ヤムチャさんがあんなに強くなるなんてなぁ・・・」 クリリンの失礼な呟きは、空へと掻き消えた・・・。 第十二話「死闘。幕開。」へ続く
スタッ 人気の無い岩山に降り立つ三人。 「しかし、ヤムチャ。おめえがそんなに強くなるなんてな・・・ オラ、ビックリしたぞ。ところで、その不思議な刀、何処で手に入れたんだ?」 「ああ、これか?そうだな・・・話せば長くなるんだが・・・。」 耳を傾ける、悟空、ベジータ。 「俺は――――ここへ来る途中、用を足したくなり・・・ある森へ降りた―――― そこで――――これを拾った――――」 『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』 凄まじい沈黙。風のざわめき。木の葉のかすれる音さえ聞き取れる。 「さて・・・そろそろ、行くぞっ!!!!」 「え?あ、ああ・・・!!!!」 飛び掛るヤムチャ。右手には山賊刀。一瞬送れて飛び出す悟空。 瞬時に呆然とした状態から脱出し、臨戦態勢を取るベジータ。 ヤムチャの刀が胴を薙ぐ。それを辛うじてかわすと、悟空の蹴りを左手で受け止め、 胴薙ぎの反動で繰り出したヤムチャの回し蹴りを左手で受ける。 そして、瞬時に蹴りを二発。飛び退り、かわすヤムチャと悟空。 「フ・・・お前、まだ余力を隠しているだろう・・・見せてみろ。久々に楽しめそうだ・・・」 「ははは・・・バレてるのか・・・」 刀を正眼(真正面)に構え、『気』を入れるヤムチャ。 「この刀は、気を込めることによって、俺の力を増幅してくれてね・・・」 刀が紫に変色し、ヤムチャの周りに闘気が発生する。 「更に・・・!界王拳!」 赤色の闘気を身に纏い、ベジータに突進していくヤムチャ。続いて悟空。 ベジータは刀の攻撃を辛うじてかわし、蹴りやひじ打ちなどの攻撃は入れられるものの、 致命傷は避けていた。更に、悟空の攻撃をかわしながら反撃する。 ドゴッ 腹に蹴りを喰らい、吹っ飛ぶヤムチャ。それを見て、駆け寄る悟空。 「だ、大丈夫か?ヤムチャ。」 「あ、ああ・・・このぐらいなら何とか・・・。」 「はっはっはっ、この程度か?だとしたら正直、期待外れだな。」 ヤムチャの頬を冷や汗が滴り落ちる。 「悟空・・・。」 「何だ?」 「オレ・・・帰っていいか・・・?」 悟空はヤムチャの意見を黙殺することに決めた。 第十三話「ベジータの秘策!?」へ続く