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晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ


508 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 其の一[sage] 投稿日:05/04/06 01:32 ID:xkSGxRXk
ふふ、買っちゃったもんね、ドラゴンボール完全版23巻。
もうさ、先は知ってるんだけど、このドキドキ感がたまらんわけよ。
アニメのエンディングで言ってたな、「ロマンティックあげるよ。」
うーん、甘美な響き、まさに完全版はロマンティックをくれるんだな、うん。

さて、悟空はナメック星を脱出できるのかってとこから始まるわけだが・・・
この巻はフリーザ親子が出てくるくらいで終わりかな。
考えてみれば、そんなに見せ場のないストーリーになってそうな気がするな。
ふうふむ、あっ、そういや天津飯はここでもう少し界王星に残るんだな。
にしては特に役に立った覚えも無い。。。あっ、セル足止めがあったな。
で、我らが役立たずヤムチャ様は無事、復活を果たしたわけだが、こいつこそ修行しろよw

さーて、あー、いきなり話が進むな、ヤムチャがフラれる直前まで一瞬だ。
ここでフリーザ親子登場!!死んだはずのフリーザとその父親を出すなんてさすが鳥山明。天才だ。
ん?ん〜?なんだ?このコマ?フリーザの気が消えたって!?
どういうことだよ?原作と違うぞ、おい。
しかも、その後は真っ白かよ、フザけんなっての。
仕方ない、明日、本屋に行って交換してもらおう。

ん?メールだ、はいはい、げっ、着信80件って何だよ、しかもこのメールの数・・・OTL
ったく、どいつもこいつもテレビ見ろ!だの見てるかだの、こっちはDB読んでたっつの
何か面白い話でもやってるのか?しょーがねーな。
ポチっとな、えっ、UFOが現れた!?

512 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 其の二[sage] 投稿日:05/04/06 22:09 ID:xkSGxRXk
どうやら、俺がDB完全版を読んでいる間にアメリカ上空にUFOが現れたらしい。
テレビではどのチャンネルもUFO出現の緊急特番ばかりやっている。
しかーし、この俺の経験上こんな時こそ2chの出番だ。
様々な分野のヲタクどもがひしめく2chならいち早く情報を入手することが出来る。
テレビでは放映されてなかったが、UFOが今どこにいるのかだとか、画像とかもあるはずだ。

こんな時はやっぱりニュー速だろうな。
えーと、やっぱり、UFO関連のスレ乱立かよ、ヒマな奴らだな。
どれにするかな。うん?『UFOとDBのフリーザが乗っていた宇宙船の類似性を指摘する声?』
おいおい、ヌー速の記者がフリーザの宇宙船とか言ってんなよ、これがヌー速クオリティw
でも、まぁ、ここなら画像があると見て間違いなさそうだな。

ビンゴ、>>1に画像のあるURL書き込んである。つか、アホーかよ、探せよ俺・・・OTL
えと、へぇ、これがUFOか、マジで似てる気もするな。さっき見たばっかりだから間違いない。
一応、手元の落丁完全版と見比べてみるか。って、ダメじゃん。宇宙船が出てくるの辺りから真っ白。
ん?なんだ!?さっきまで真っ白だったページに新しいコマが出てきてる。。。
フリーザ親子が宇宙で磁気嵐に巻き込まれたって!?DBにそんな話はないぞ。

「おい、相棒、何をファビョってんだ?」
俺しかいないはずの部屋の中で誰かが俺の名前を呼んだ。
ハッとして振り返った俺の目の前には再びヤムチャがいた。
一体、何がどうなってるんだ!?

516 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 其の三[sage] 投稿日:05/04/07 23:48 ID:1.c7kYOo
世間を騒がすUFO、再び俺の前に現れたヤムチャ。謎を秘めたDBの落丁完全版。
「なーに、素っ頓狂な顔してんだ?」
「ヤムチャ、なんで、また出てきたんだ?」
「おいおい、質問に質問で返すなよ。とりあえず、落ち着けって、な。」
頭の上に無数の?が飛び交う俺を尻目にヤムチャはカラカラと笑った。

「けど、俺はもう、お前の活躍する物語を書くのをヤメたんだ。なのに、なんで?」
俺はかつて2chにあるスレでこの男をどうにか活躍させようといくつかの物語を書いた。
あれはちょうど2年程前の夜だったか・・・こいつは今と同じように俺の目の前に現れた。
そんなわけはないし、誰も信じることはないだろうが、俺にとっては紛れもない事実だ。

そのことを描いたSS『ふりかえればヤムがいる』が事実上、俺の最後のヤムチャ小説となった。
いつしか俺の足はヤムスレからは遠のき、ヤムチャのことも忘れようとしていた。
だが、そのヤムチャが再び俺の前に姿を現した。なぜ、今頃になって俺の前に・・・
「さぁな、それは俺にも分からない。ただ、はっきりしてることは何者かがこの世界に俺を送り込んだ。」
あの時と同じように俺の心の中を読みながらヤムチャは淡々と話を進めていく。

「そして、その何者かはご丁寧なことにあのフリーザまでこの世界に呼び寄せやがったみたいだ。」
「フリーザ!?じゃ、やっぱり、あのUFOはフリーザの?」
冗談じゃない、フリーザがこの世界に現れただなんて。
少なくともこの世界にはフリーザに対抗できる力を持った戦士は存在しない。
世界中の軍隊が束になっても傷一つつけられるかすら疑わしい・・・状況は最悪だ。

「そう悲観的に考えるなよ。俺がいる。フリーザの好きなようにはさせやしない。」
「簡単に言うなよ!!どうやったらお前がフリーザに勝てるんだ?ムリだって・・・」
最後の希望がこの男ではどう考えても地球はフリーザによって滅ぼされる。
せめて、ここに現れたのがこいつじゃなく、悟空であれば話は別だったが・・・
「決めてかかるなって前に言ったよな、俺はお前が作り出したヤムチャだ。
神であるお前次第で俺はフリーザをはるかに超える力を持つことだって出来る。」

ふとヤムチャが頼もしく思えた。だけど、このヤムチャをどうやってフリーザと戦わせりゃいいんだ!?

517 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 其の四[sage] 投稿日:05/04/08 00:55 ID:/OSn8GgQ
突如、現れたフリーザのUFOとヤムチャ、一体、世界はどうなっちまうんだ?
「さてっと、どうやらこいつが原因みたいだな。」
そう言うとヤムチャはベッドに投げ出していた落丁完全版を拾い上げると、
おもむろにそのページをめくり始めた。登場人物が自分の出ている漫画を読んでいるのだ。

「それ、途中からページが真っ白だったんだ。けど、その白いページに新しいコマが・・・」
混乱しようとする頭をどうにか冷静に保とうと俺の理性は必死に狂気に抗う。
俺の心を読めるヤムチャに説明する必要なんてないのかもしれない。
だが、自分の口で説明することが何かのおまじないのような、そんな気がしていた。
「大体のことは分かった。要するに途中で途切れてしまった物語がおかしな方向に進んだわけだ。」

ヤムチャの言葉は見事に核心を突いていた。
「そして、この本にはその後の展開が次々と記述されるように出来ているようだな。ほら、見てみろ。」
ヤムチャに促がされて落丁完全版を覗き込んだ俺の目にフリーザの部下によって作られた廃墟が飛び込んできた。
「そんな!?これって現実に起こってることなのか・・・」
慌ててテレビをつけ、2chのスレを片っ端から開いて回る。

2chではどうやら、アメリカのどこだかの基地が壊滅したという報が出回っていた。
テレビは壊れた玩具のようにその基地からの最後の通信を流すことを繰り返していた。
「ははっ、ウソだろ。冗談・・・だよ、な?」
こんなことあるはずがない。フリーザなんて空想のキャラクターだ。それが・・・
「だが、実際にフリーザは現れた。そして、俺もここにいる。それが全てだ。」

ヤムチャの言葉は死刑宣告のように俺の胸に重くのしかかった。
だが、このまま、死を待つわけにもいかない。
「そうだ、相棒。俺達で何とかしてやろうぜ。」
ヤムチャの言うとおりだ。だが、どうやって・・・
その時、ヤムチャが再び口を開いた。

「この本さ、ドラゴンボールっていうんだな。なら、願いを叶えてくれるかも知れないな。」

518 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 其の五[sage] 投稿日:05/04/08 02:09 ID:/OSn8GgQ
落丁完全版とリンクを始めた世界、残された希望はヤムチャのみ。
「名前がドラゴンボールだからってそれは安直過ぎだろ。」
落丁完全版がドラゴンボールみたいに願いを叶えてくれるなんて到底ありえない話だ。
「だけどさ、考えられないことが起こってしまってるんだ。何が起きても不思議はない。」
ヤムチャは俺の心を読み取り、食い下がってくる。

「たしかに不思議はないかもしれないけど・・・」
そう、落ち着いて考えれば、全てはこの本から始まったようなのだ。
それならこの事態を乗り切る手段もこの本が握っているのかも知れない。
「とりあえず、神龍を呼んでみよう・・・出でよ神龍、そして願いを叶えたまえ!!」
神龍を呼び出す呪文を唱え、両手を挙げるヤムチャ・・・だが、何も起こらない。

「やっぱ、ダメじゃん。」
やはり、どう考えてもこの本がドラゴンボールみたいに願いを叶えてくれるワケがない。
「おっかしーな、やり方が間違ってんのかな・・・」
なおも諦めようとしないヤムチャにさすがの俺も腹が立ってきた。
「出来なくて、当たり前だろ!!何がドラゴンボールって名前だからだ!」

ヒステリックに喚く俺を他所にヤムチャは落丁完全版に見入っていた。
「待て!相棒、こいつをよく見てみろ。」
ヤムチャが指し示す、その先にある落丁完全版のページの隙間からは微かな光が漏れていた。
バカな・・・ウソだろ!?神龍が現れるってのか?
「よし、開いてみよう。」そう言うとヤムチャは光を放つページを開け放った。

そこには2ページ丸々使って、雄大な龍が描かれていた・・・神龍だ。
その神龍には吹きだしがついてあって、そこにはこう書かれていた。
「さぁ、願いを込めて次のページを開け。」

「やったぞ、相棒!!神龍が願いを叶えてくれる!」
信じられない。俺にはもう何がなんだか分からない。ただ一つこの先、俺が二度と味わうことがないだろう。
それほどの興奮を味わっていたは確かだ。その興奮を何とか抑えようと俺はヤムチャに尋ねた。
「だけど、何を願うんだ・・・?」

519 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 其の六[sage] 投稿日:05/04/08 02:31 ID:/OSn8GgQ
落丁完全版に現れた神龍、フリーザ打倒の鍵はこの本が握っている。
「そう言われてもな、こいつが本物のドラゴンボールと同じような制限を持っているのか、いないのか。」
確かにその通りだ。ドラゴンボールは作り手の力以上のことは出来なかった。
「ダメ元でフリーザを消してもらおう!」
そう言うと俺は落丁完全版に願いを込めて次のページを開く・・・

「ん?あれ、開かない・・・何でだよ?」
落丁完全版のページはまるで貝が硬く、その身を閉ざすように開かなかった。
「願いが足りないのかな?」
呑気に答えるヤムチャ、どう考えてもこいつには緊張感が足りない。
小一時間、頑張ったがやはりページは開かなかった。

「何かの冗談か?くそっ、何が願いを込めてだ・・・えっ!?」
不満を吐き出した俺の目に映ったのは神龍の吹きだしの文字だった。
そこには先ほどまでとは違う文字が並んでいた。
「その者の力は私の力を大きく超えている、その願いは叶えることは出来ない。」
やはり、そうだ、この神龍にも制限がある。どうやらドラゴンボールにある程度、忠実なようだ。

「これではっきりしたな。こいつは紛れもなく神龍だ。なんでかは分からないけどな。」
相も変わらず淡々と話を進めるヤムチャ。まるでナレーターか何かのようだ。
なぜ、神龍がこの本の中にいるのかは分からない。だけど・・・こいつが俺達のジョーカーだ。
とりあえず、今のこちら側の戦力は未知の力を秘めた神龍と、ヤムチャのみ。
対するフリーザ側の戦力は・・・フリーザ、コルド大王、部下数名と見て間違いないだろう。

分の悪い賭けだ。そう言えば、このヤムチャはいつぐらいのヤムチャだろうか?
「俺の力ならちょうど、フリーザたちと同じ時代の俺だ。」
またも俺の心を読んで答えるヤムチャ。だが、そんなことはどうでもいい。
それなら、フリーザ本人やコルド大王はムリとしても、部下達くらいは倒せそうだな。
圧倒的に劣る戦力、ならば、こちらは戦略で相手を上回るしかない。

「おいおい、忘れたか?お前が望むなら俺はフリーザをはるかに上回ることが出来るんだぜ。」
自信たっぷりに答えるヤムチャ、そうだ、俺はこいつの神なんだ!

520 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 其の七[sage] 投稿日:05/04/08 02:53 ID:/OSn8GgQ
自信たっぷりのヤムチャと神龍、こいつらがいれば・・・フリーザなんて怖くない。
「ヤムチャ、お前、頼もしいな。」
先ほどのヤムチャの言葉に俺はすっかり肝心なことを忘れてしまっていた。
「よし、相棒、神龍の力で俺をフリーザの元へ送ってくれ。」
そう言いながらヤムチャは見慣れた胴着の帯を硬く締めなおした。

「神龍よ、ヤムチャをフリーザの元へ送ってくれ。」
声に出す必要はなかったのかも知れない。だが、俺はあえて願いを声に出して、ページを開いた。
すると、そこには新しいページにフリーザたちと向き合うヤムチャの姿が描かれていた。
「す、すごい。本当にヤムチャがフリーザたちの元へ行った。」
神龍の力の偉大さに酔いしれながら、俺はうっとりとそのページを見つめていた。

「さすがは神龍だな。よーし、こっからは俺の出番だ。」
まるで、すぐ間近でヤムチャが喋っているかのような錯覚に陥る。
もはや、俺の心は完全版に入ってしまっていた。
だが・・・って、おい!ヤムチャの奴、本当にここにいるよ・・・OTL
「お前、何してんだよ!つか、えっ、本の中にもヤムチャ?ここにもヤムチャ?」

「どうやら、俺はこの部屋とフリーザたちの所と二つの場所に同時に存在できるみたいだな。」
アリエネー。ったく、よし、覚悟は決めた。もう何が起きても不思議はない。
「何ですか、あなたは?」
落丁完全版の中ではヤムチャと向き合ったフリーザがヤムチャに問い掛けていた。
周りにいる部下達は不敵な笑いを浮かべている。
「俺はお前を倒す者だ。」
言うが早いか、ヤムチャの拳が手刀が、蹴りがフリーザの部下達をなぎ倒していく。

「ほう、なかなかやるようですね。よく見るとその服、あなた、ソンゴクウの仲間ですか?」
全ての部下を倒されてなお、体の半分近くを機械で覆われた復讐鬼は余裕たっぷりにヤムチャに尋ねた。
「あぁ、そして、お前はここで死ぬ。俺の手にかかってな。」
痺れる、カコイイぞ、ヤムチャ!!
だが、次のコマであっさりとヤムチャの体はフリーザに貫かれていた・・・

521 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 其の八[sage] 投稿日:05/04/08 03:28 ID:/OSn8GgQ
どうやら、ヤムチャは死んでしまったらしい。どうしよう・・・
簡単にフリーザに体を貫かれたヤムチャを見て、俺はすっかり肝心なことを忘れていたことに気付いた。
ヤムチャが自信たっぷりに出て行って勝ったためしがあっただろうか・・・いや、一度もなかった。
そう、連戦連敗、2chではヘタレの代名詞、所詮、こいつはこんなものだ。

「はいはいおー」
突如、奇声が部屋に轟いたかと思うと、俺は軽く宙を舞っていた。
何が起きたって言うんだ?いや、この掛け声は・・・ヤムチャ!?
「ったく、すぐに諦めてんなよ。」
何事もなかったかのように俺に喋りかけてくるるヤムチャ。

「ってーな!!つか、お前、死んだんじゃないのかよ?」
そうだ、たしかにフリーザに体を貫かれて、ヤムチャは・・・
「どうやら、その本の中で戦う限りは本体は無事で済むようだな。」
はっ?何を言ってるんだ??本体って・・・何のことを言ってるんだ?
「その気になれば、神龍の力を使わずとも、俺がフリーザの気を辿って行けば良かっただろ?」

確かにヤムチャの言う通りだ・・・だけど、やっぱりワケがわからない。
「つまりはこういうことだ。俺はここにいて、戦っているのはもう一人の俺。」
もう一人のヤムチャ?あぁ、ダメだ。お父さん、お母さん、僕は狂ってしまったようです。
「神龍の力でお前は俺の分身をフリーザの元へ送り込めるってスンポーだ。」
ヤムチャの声は遠くの世界のように思えた。

「聞いてるのか、おい、相棒!!」
はいはい、聞いてますよ。えーと、ヤムチャは不死身で俺が念じればいくらでも強くなると。
・・・不死身でいくらでも強くなる!?スゲッ、フリーザなんて目じゃない。
「分かったか?神龍に俺の分身を生き返らせてもらうんだ。とびっきり強い俺をイメージして。」
あまり、聞いていなかったが、どうやら、まだ、ゲームオーバーってワケじゃないみたいだ。

よーし、出来るだけ強いヤムチャをイメージして、生き返れ、ヤムチャ!!
ありったけの願いを込め、俺は次のページを開いた・・・

522 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 其の八[sage] 投稿日:05/04/08 03:47 ID:/OSn8GgQ
不死身でいくらでも強くなるヤムチャ、これなら負けないぞ、フリーザ!!
・・・すっかり、俺は疲れてしまった。
ドクヤム、グラヤム、偉大なるヤムチャ、ダークサイドヤムチャ、二つの頬の傷ヤムチャ、
最終章ヤムチャ、ヤムロットヤムチャ・・・果てにはヤムチャイクヤムチャ。
およそ考えられるヤムチャ全てを送り込んではみたが、結果はすべて惨敗。

「お前、いくらでも強くなれるんじゃなかったのか?」
憤る俺を前にすっかりヤムチャは小さくなっていた。
「フリーザがあんなに強いなんて思ってもみなかった。」
いや、お前さ、Z戦士だろ気とか感じられるんだろ?
やっぱり、こいつはヘタレでしかないようだ。

すっかり、ヤムスレに出てきたヤムチャのストックもなくなっていた。
もはや、勝機が残されているとも思えない。こんな時に悟空がいてくれれば・・・
そうだ!悟空を神龍に呼んでもらおう。なんで、最初に気付かなかったんだ・・・OTL
「すっかり、俺は忘れられてるな・・・」
一人イジけるヤムチャ、そして、俺は悟空を呼び出すよう、神龍に願ってページを開いた。

よし、ページは開いた。つまり、悟空をここに呼び出すことが不可能じゃないってことだ。
これでフリーザ親子もジ・エンド・・・だが、新しいページに悟空の姿は無い。
神龍、一体、どうしたんだ?
「あー、悟空の奴、来ないみたいねー。」
こいつ・・・ハナクソほじりながらイヤミ言ってやがる。

「おまっ・・・誰のせいだよ?あぁ!?お前じゃ勝てやしないから悟空呼んでんだろうが!」
さっきまでの威勢はどこへやら、すっかり、腑抜けたヤムチャがそこにいた。
「お前のイメージが足りないんじゃないか?」
この野郎、言わせておけば・・・
「そうだ!お前さ、界王星で修行したんだよな、なら、元気球を作って、神龍の力で命中させよう!」

忘れていた。そうだ、戦力では決定的に劣っている。それなら戦略で勝つんだ。

523 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 其の九[sage] 投稿日:05/04/08 04:11 ID:/OSn8GgQ
力で勝てないのなら、頭で勝つ。元気球で逆転だ!
「イヤだ。」
・・・えっ、何言ってんのこいつ?イ・ヤ・ダ・・・?ドウイウイミディスカー?
「お前さ、俺が元気球使ってるとこ、見たことあるのか?」
見たことあるのかって、そういう問題じゃないだろ・・・OTL

「そういう問題だ。」
なぜだか、強気になるヤムチャ。
「お前さ、俺が元気球使ってるとこなんて、想像できるか?」
想像しようとすればいくでも・・・う〜ん、できないw
「だろ?界王拳も元気球もあの悟空だから出来たんだ。ピッコロや天津飯でも出来なかったんだぞ。」

なぜだか、偉そうなヤムチャ、だけど、説得力があるような、ないような・・・
「前に言っただろ、俺だってやりたい役があれば、やりたくない役もある。やりたくない役やらされてフリーザに勝てるわけがない。」
いや、今はそんな場合じゃないだろ、どうにかしてフリーザを倒さないと・・・
「いーや、そういう問題だね。戦略だとか偉そうなこと言ってお前がやってるのは空想だ!」
空想・・・言われてみりゃそうだ。他人の考えたヤムチャを俺はこいつに押し付けてただけなのかも知れない。

じゃぁ、どうすりゃいいんだ?画期的なフリーザに勝つ方法なんて思いつかない・・・
「正直、どうにも俺の力じゃフリーザには勝てそうもない。俺が束になったところで勝てるかどうか・・・」
!?束になって?・・・そうか、神龍の力を持ってすればヤムチャの分身をいくらでも作り出せる。
1000人ヤムチャってのはまだ試してなかった。あれのコンセプトだけ頂いてみよう
ヤムチャらしさを失わないように細心の注意を払って、1000人分のヤムチャの力を引き出す。これしかない。

「ほう、考えたな。単なるパクリじゃなく、そこにアレンジを加えてみるか。だが、お前に俺の力を引き出せるかな?」
ヤムチャの性格がどんどん悪くなってきてるのは俺の気のせいか・・・
だけど、さすがにこれがラストチャンスかも知れない。
フリーザにとってヤムチャとのことは悟空が来るまでの遊びに過ぎないとしても、飽きてきただろう。
よーし、後は任せた1000人ヤムチャ!!

526 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 実は其の十一[sage] 投稿日:05/04/08 20:10 ID:/OSn8GgQ
やっぱり、ヤムチャではフリーザには勝てないのか?こうなりゃ数で勝負だ!!
「頼んだぞ、1000人ヤムチャ、そして、神龍・・・」
ワラにもすがるような気持ちで俺は何度目かのヤムチャを送り出した。
そして、これまでにないほどの祈りを込めて落丁完全版の新しいページを開く。
どさっどさっ、という擬音語とともに無数のヤムチャがそのページには舞い落ちていた。

舞い降りたのではない。まるで、雨が降るかのように幾人ものヤムチャが無防備に降ってきたのだ・・・
笑い転げるフリーザ、頭や腰を抱え、のたうちまわるヤムチャたち。こいつら、ダメすぎる・・・OTL
「まったく、しつこい人ですね。私もそろそろ、遊びには飽きてきたところでして・・・」
やはり!?フリーザにとってはこの星にいる(と思い込んでいる)悟空が来るまでの暇つぶしでしかないようだ。
「じっくりと一人ずつ殺してさしあげましょう。全員が死んだらソンゴクウもろともこの星は破壊します。」

くそっ!最低だ・・・しかも、1000人ヤムチャは今までで一番頼りになりそうもない・・・万事休す、俺!
「はいはいおー!」
再び、宙を舞う俺・・・空を舞いながら見たヤムチャの目はどこかもの悲しかった。
よりによって、なんでここに現れたのがこいつだったんだ。悟空じゃないにしても、せめて、クリリンとかなら。
「お前さ、さっきから弱音しか吐いてないな。」

当たり前だ、畜生。どうやったって勝てるわけない。相手はあのフリーザだ。
「だがな、その本の中の俺をよく見てみろ。俺は決して勝負を諦めていない。」
言われてみれば、その通りだ。何度負けてもヤムチャはフリーザに向かっていった。
勝てるはずもない戦いに送り出す俺に恨み言を言うこともなく。
「ヤムチャ、俺が悪かった。どうやらこれが最後の戦いになりそうだ。頼んだぜ、相棒!!。」

意識して俺はヤムチャが俺を呼んでいた相棒という言葉を使ってみた。
せめて、この最後の戦いくらいは、ヤムチャを信じてみよう。そう思ったからだ。
ヤムチャ1000人+俺 VS フリーザ、最後の戦いが今、幕を開けた。


527 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 実は其の十二[sage] 投稿日:05/04/08 20:12 ID:/OSn8GgQ
地球の命運を賭けた1000人ヤムチャとフリーザのの戦い。待つのは希望か絶望か!?
戦いは3人のヤムチャの特攻から幕を開いた。狼牙風風拳でフリーザの周りから一斉に攻撃するヤムチャたち。
ドカッバキッボコッ、擬音語がコマを埋め、ヤムチャたちの攻撃が見事にフリーザを捉えていた。
「よしっ!イケる、イケるぞ、ヤムチャ!!」
俺は隣にいるヤムチャの背を叩きながら喚起に酔いしれた。

「いや、ダメだ、まるで効いてない。」
ヤムチャは冷静に戦況を分析していた。よく見ればフリーザの顔は笑っている。
わざと殴らせていただけか・・・そう判断し3人のヤムチャたちはフリーザとの間合いを開ける。
その瞬間、フリーザが一人のヤムチャを指差した。見えない攻撃に絶命するヤムチャ。
ニヤリと悪魔の笑みを浮かべ、フリーザは2人目3人目のヤムチャを屠った。その間、わずか2コマ。

「やっぱり、こいつ強い、強すぎるっ!」
そう言いながら何人かのヤムチャはこれまでの先頭で捲れあがった岩肌に見を隠した。
なおも戦おうとするヤムチャの数・・・ゼロ。って?あれ、ヤムチャ、戦えよ!!
「いや、ほら、あいつ強すぎるでしょ?」
俺の隣ではデカい風呂敷包みを背負って逃亡しようとするヤムチャがいた。こいつら・・・

「いや〜、逃げようなんて思ってないからな。マジで。」
ゼッッッテーーーーーッ、嘘だ。こいつ、逃げようとしてやがった。
お前それでもZ戦士かよ?俺はヤムチャのあまりの不甲斐なさに涙をこぼしていた。
そりゃさ、お前にとっちゃこの世界はどうでもいいかもしれない。だけど、俺にとっては・・・
「分かってるって、お前、これまで遊び気分だっただろ?」

さっきまで背負っていた風呂敷包みはどこへいったのか、ヤムチャは再び凛々しい顔を取り戻していた。
しかし、その間にもおよそ100を超えるヤムチャたちがフリーザによりじわじわと惨殺されていた。
「お前が本気で俺を勝たせようとするなら、俺が強いイメージ、勝った時のイメージを強く頭に思い浮かべるんだ。」
強いヤムチャ・・・そうだ、ヤムチャだって仮にもZ戦士の端くれ。決して、弱いわけはない。
あのフリーザに勝てるヤムチャをイメージするんだ!!


528 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 実は其の十三[sage] 投稿日:05/04/08 20:16 ID:/OSn8GgQ
フリーザと相対するヤムチャ、しかし、彼我の実力差は大きい。本当にヤムチャは勝てるのか!?
強いヤムチャ、強いヤムチャ・・・そう呟きながら俺は目を閉じてヤムチャが勝つ姿を思い浮かべようとしていた。
「ダメだ、ヤムスレのヤムチャばかりが思い浮かんでくる。」
そんな俺の目が開いた時にはフリーザの周りで累々と屍の山を築き上げたヤムチャたち。
どれほどの犠牲が出たのだろうか?ここまでをの展開を読み返してみれば、
見えないどどん波モドキやら、気円斬モドキやら、汚い花火やらフリーザの虐殺ショーが繰り広げられていた。

「ヤムチャ、戦力はあとどれくらいだ?」
さすがに焦った俺にヤムチャは600を切るくらいだと素っ気なく答える。まるで他人事だ。
力の差があるのは分かる。だけど、ここまで一方的にやられるものなのか?
「仕方ないだろ?フリーザの攻撃が全く見えないんだ。」
この期に及ぶまで、ヤムチャは恐ろしく重大なことを俺に話していなかった。
見えてない!?全く動きについていけてなかったってことか?

「その通りだな。見えない相手に攻撃をかけても完璧に捉えることは出来ない。
それよりも相棒、早いとこ強い俺をイメージしてくれ。さすがにこのままじゃキツい。」
強いヤムチャも糞もない。勝てる見込みなんて最初からなかったんじゃないのか?
途方にくれそうな自分と戦いながら、俺は何とかフリーザに勝てるヤムチャをイメージする。

ブウ編のヤムチャなら・・・ダメだ、完全に存在意義ナシ。
人造人間編は・・・串刺し、骨折、ヤル気ナシ。
ナメック星じゃ・・・出番ナシ。
サイヤ人編では・・・いいとこナシ
Z時代のヤムチャ・・・OTL

えぇーい、ヤムチャだってカッコよかった時代があったはずだ!?


529 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 実は其の十四[sage] 投稿日:05/04/08 20:33 ID:/OSn8GgQ
フリーザを前になす術もなくやられていくヤムチャたち、こいつを倒す強いヤムチャよ、思いつけ!
確か、無印での最後の戦いはシェン戦・・・足元がお留守。
初代ピッコロ戦は・・・骨折中。
天下一武道会・・・天津飯のカマセ。
やっぱ、ダメじゃん、ヤムチャって誰かに勝ったことあったっけか。

この頃になってくると、俺の記憶も途切れ途切れになる。完全版1巻からヤムチャが勝った戦いを探してみよう。
悟空との戦いかぁ、懐かしいな、初登場初勝利、この頃のヤムチャは輝いてたな・・・
おっと、これは実力じゃないからダメだ。しかも、狼牙風風拳なんて使い物にならない。

「相棒、お前、ちょっとひどすぎ・・・OTL」
これは・・・占いババの館での戦い。そういや、ここでヤムチャは透明人間のスケさんに勝った気がするぞ。
やっぱり、ヤムチャ勝利・・・ほとんど、亀仙人のおかげだけど。
見えない相手に鼻血ぶっ掛けて見えるようにするなんて、天才だなクリリン。
ん?見えない相手!?今のフリーザと同じ状態ジャマイカ?

「相棒、お前、何か良からぬこと考えてないか?」
心配そうに尋ねるヤムチャを無視して俺の頭は高速で回転を始めた。
フリーザは見えない。見えないから攻撃が当たらない。見えないのはスケさん。スケさんには鼻血・・・
亀仙人ほどじゃないにしても、ヤムチャだって鼻血の噴水は出来るはずだ。
それも500人分くらいはある、これでフリーザも見えるようになる。
よーし、神龍、とびっきりのお色気シーンをヤムチャたちに見せてやってくれ。


530 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 実は其の十五[sage] 投稿日:05/04/08 20:35 ID:/OSn8GgQ
見えない相手には鼻血をかける、中国の古い諺にもそうあるぞ。頼んだ神龍!
希望を託し開いたページではヤムチャたちの凄まじいほどの量の鼻血をフリーザは浴びていた。
よーし、これでスケさんの時と同じだ。あとは見えるようになったフリーザをフクロ叩きだ、ヤムチャ!!
って・・・あれ?ヤムチャたちの元気がない・・・一方、怒りに震えるフリーザ。

「何ですか、これは?どうやらあなたたちはふざけているみたいですね。」
額に血管を浮かべ鬼のような表情を見せる復讐鬼。
「相棒、ちょっとだけいいか?俺がフリーザが見えないって言ったのは速すぎて見えないってことなんだが・・・」
はて?それがどうしたんだ・・・んーと、スケさんの時は・・・OTL
物理的に見えなかったんだな、これが・・・

「気付くのおせーよ!よく見てみろ、もう、俺たちに戦う力は残されていない。」
ヤムチャの言う通り、残されたヤムチャたちの多くは先ほどの失血である者は倒れ、ある者は腰を落としていた。
「もう許しませんよ、この私に汚いゴミ虫の体液をかけるなど・・・この、ゴミ屑がーーーーーッ!!
怒りに震えるフリーザの周囲に異様な空気が立ち込める。

「ヤバいな。あいつ、一気に気を開放するつもりのようだ。」
そんな・・・動けそうなヤムチャは見当たらない。こいつはマジにヤヴァそうだ。
「あれだけ、血出したら動けるワケないだろ!!」
怒るフリーザ、動けぬヤムチャ、ひょっとして万事休す・・・か!?

533 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 其の十六[sage] 投稿日:05/04/09 02:29 ID:Y0g5OzVk
スケさんを屠った鼻血パワーでフリーザを圧倒しようとした俺、だが、ちょっとだけ勘違いがあったようだ・・・
「ちょっとじゃないだろ!」
間断なくツッコミを入れてくるヤムチャ。だが、問題はこの窮地をどう乗り切るかだ。
「もうどうしようもない。」
さすがにこの状態には危機感を募らせたのか、初めてヤムチャが弱音を漏らした。

フリーザはヤムチャ達もろとも地球を破壊しようと気を練り上げていく。
その光景を俺とヤムチャは黙ってみている以外に術はなかった。
「なぁ、相棒、俺はさ、これまでいろんな奴と戦ってきた。いや、悟空達の陰に隠れて逃げてきた。」
まるで、別れの挨拶のようにヤムチャは語り始めた。

「だが、俺も戦士だ!悟空や気に食わないピッコロの野郎なんかに任せちゃいられない。」
そう言うとヤムチャは俺の隣で静かに、だが、それを感じれる人間になら感じ取れるほどに気を高め始めた。
落丁完全版ではフリーザもまた、気を高めている。ヤムチャ、もしかして玉砕覚悟だというのか!?
「き、貴さ・・・さ・・・サ・・・サマ・・・ラララ・・・」
ヤムチャとフリーザの間を油断無く見つめていた俺の目に映ったのは、落丁完全版のフリーザの口調の突然の変化だった。

「ヤムチャ!これを見ろ!!」
明らかなフリーザの異常、それが何によるものかは分からない。
だが・・・これはもしかしてチャンスが訪れたのだ!俺たちにとって、たった一つのチャンスが。
「ヤムチャ、今だ、フリーザに向けてありったけの力でかめはめ波を撃ち込むんだ。」
俺のミスで失血のヤムチャたちにはムリなのは承知の上だ。だが、これを置いてもはやチャンスはない。

534 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 其の十六[sage] 投稿日:05/04/09 02:33 ID:Y0g5OzVk
突如、フリーザに現れた変化!?そして、ヤムチャたちの渾身の一撃・・・これが最後の一手だ!
ズドーン!爆発の擬音語と共に最新のコマには粉塵が満ちていた。
気を感じとれない俺にはフリーザの生死など判別できようはずもない。
「ヤムチャ!フリーザは・・・フリーザはどうなったんだ?」
傍らにいるヤムチャに声をかける俺・・・だが、そこには気を失い、倒れるヤムチャがいた。

まさか、ヤムチャ・・・戦ってるのはお前の分身だろ?お前には何の影響も無いはずだ!
ふと我を忘れ、ヤムチャのことが気にかかった俺。しかし・・・
「はぁ、はぁ、しぶとい奴だぜ、畜生!」
ヤムチャ!蚊の鳴くような声でまるで搾り出すようにヤムチャの声が聞こえた。
よし!ヤムチャは無事だ!!そ、そうだ・・・フリーザは?フリーザはどうなった!?

落丁完全版を覗き込む俺の目に飛び込んできたのは・・・直立したフリーザの姿だった。
すでにヤムチャの力はかけらも残されていない・・・俺は地球の最後を・・・そして、己の死を覚悟した。
次のコマではフリーザの体の周りにほんの僅かだが、稲光のような描写がされていた。
何だ!?フリーザの最後の攻撃が始まるのか?
そう思った俺に、優しくヤムチャが囁いた。

「やったな、相棒・・・どうやら、俺たちの勝ちみたいだ。」
ヤムチャの声に驚く俺、見れば、フリーザの目はもはや焦点を失っていた。
なぜだ!?ヤムチャたちのかめはめ波がフリーザを倒したのか?
「どうやら、俺たちがかめはめ波を撃つまでもなくフリーザはこの世を去っていたらしい。」
どういうことだ?一体、何が起きたというのだ!?

535 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 其の十八なんだな、これが[sage] 投稿日:05/04/09 02:36 ID:Y0g5OzVk
ヤムチャ達の渾身の一撃、そして、直立のまま、倒れたフリーザ・・・何がどうなったんだ!?
「相棒、どうやら、俺たちの鼻血が奴の機械化した部分に悪影響を与えたみたいだ。」
そ、そうか!フリーザは悟空との戦いで体の大部分を失い、それを機械で補っていた。
そして、機械は水分に弱い!・・・だが、なぜ、その機械部分が壊れたんだ?

「フリーザの奴は怒りに任せてありったけの力を解放しようとした。それが奴の命取りになったんだ。」
息も絶え絶えにフリーザの敗因を語るヤムチャ。たしかに、フリーザは渾身の力を振るおうとしていた。
体の半分以上が機械である以上、奴の体を何らかの機械的信号が巡る必要がある。
それが・・・もしも、それが電気であったなら。ショート・・・そうだ!電気はショートする・
「その通りだ、奴の機械部分に俺の鼻血がかかった。まさか、宇宙空間ですら生きることが出来る化け物が水分に弱いだなんてな。」

皮肉な話だ。生にしがみつくために手に入れた機械の体がこんな形で自分を裏切ることになろうとは・・・
「だけど、あっちのデカい方はさすがに手が回らなさそうだ。」
ヤムチャの言葉に俺はもう一人の強大な敵の存在を思い出した・・・コルド大王だ!
もはや、ヤムチャに戦う力は残されていない。
フリーザに勝ってくれただけでも奇跡としか言いようがなかったのだ。

「すまない・・・相棒、俺はどうやらここまで・み・・た・・・ぃ。。。」
小さくなるヤムチャの声、そして落丁完全版にはおぞましいコルド大王の姿が描かれていた
「所詮、こいつはこんなものか。」
そう言うとコルド大王はフリーザを空高く放り投げ、その体を気弾で消滅させた。
ダメだ・・・俺たちがあれだけ苦労したフリーザをいとも簡単に消し去る。こんな相手に勝ち目など・・・

絶望という言葉が、これほどまでに似合う瞬間はない。向かい来るコルド大王。
しかし・・・その瞬間、俺たちとコルド大王の間に一つの人影が舞い降りた!?

540 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 其の十九[sage] 投稿日:05/04/10 02:34 ID:CCcqRq6s
何とか、フリーザは倒したが、ヤムチャは戦える状態ではない。迫るコルド大王、舞い降りた影は敵か味方か!?
「何だ?いってぇ、何が起きたんだ?」
突如、ヤムチャとコルド大王の間に割って現れた謎の人物はキョロキョロと辺りを見回す。
こちらからでは顔は見えない。だが、何度、彼の姿を俺は見てきただろう。
不自然に空に向けて逆立った髪、後姿からも見てとれる鍛え上げられた筋肉。

間違いない・・・悟空だ!孫悟空がこの危機に現れてくれたのだ!!
服装は見慣れないものだったが、たしか、ナメック星から帰還した時に着ていたものだろう。
しかし、一体、なぜ、悟空がここに現れたのか?
「全く、いつだって、こいつは一番おいしいところで登場しやがる。」
言葉とは裏腹にヤムチャの声は不意の助っ人の到来を喜んでいるかのようだった。

「神龍の奴もヒトが悪い。もっと早くに悟空をこっちに呼べってんだ。」
あ!そうだ、俺が神龍にお願いして、悟空を呼んだんだった。その時は現れなかったが・・・
おそらく、向こう側からこちらへ来るのには少しのタイムラグでもあったのだろう。
もしくは、主役は遅れてやってくるというDB恒例のお約束だったのかも知れないが。

目の前にいるコルド大王の気を感じ取れないはずはない。
だが、悟空はその存在を意に介さないように倒れている無数のヤムチャの一人の下に寄り添った。
「ヤムチャか!?それもこんなにいっぺぇー・・・なんか、よく分からんが、ひでぇことしやがる。」
吹き出しのセリフであるため、そこから気持ちを読み取ることは出来ない。
だが、静かな怒気を感じるのは、この男との付き合いの長さから来るものだろうか。

「何だ、貴様は?お前もそいつらみたいに死にに来たのか?」
目の前の相手が宇宙最強の戦士とも知らず、強気のコルド。

541 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 其の二十[sage] 投稿日:05/04/10 02:37 ID:CCcqRq6s
コルド大王 VS 遅れてきた男・孫悟空、最後の戦いの火蓋が開こうとしていた。
「おめぇがやったのか?」
静かに立ち上がり、コルド大王に尋ねる悟空。
「だったら、どうする?俺を殺してみるか、ふぁっはっはっはーーーっ。」
自分の運命を知らずに高笑いを上げるコルド、だが、一瞬で目の前に現れた悟空に驚愕の表情を浮かべる。

「!?いつの間に・・・随分とスピードには自信があるようだな。」
先ほどまでの余裕は消え、一人の戦士としての光をその目に宿すコルド。
一瞬で相手が只者でないことを察するのは宇宙の帝王のなせる業だろう。
「おとなしく、この星からけぇれ、そして、二度と悪いことはしないと約束しろ。」
悟空らしい台詞だ・・・だが、この言葉を受け入れたもの悪人など存在しなかった。
そして、このコルド大王もまた、例外ではなかった。

突如として恐竜のような尻尾が悟空の頭を狙い、振り上げられる。それをはスウェーバックで避ける悟空。
だが、相手も歴戦の猛者、休むことなく体制の崩れた悟空に第二撃三撃と仕掛けていく。
軽業師のようにバク転の連続でその攻撃をかわしていく悟空、ほんの一瞬のうちにどれだけの攻防があったのだろうか。
ついにコルドの攻撃が悟空を捉えた、コルドが硬く握った両の拳を悟空に振り下ろした・・・かに見えた。
だが、次の瞬間、コルドの懐に潜り込んだ悟空の肘打ちがコルドの腹に突き立っていた。

苦悶の表情を浮かべ、膝をつくコルド。
「クソったれ!」
そう言い残すと、コルドは空高く舞い上がり、途轍もない大きさの気弾を作り上げていた。
ヤヴァい。コルドの奴、地球を破壊してでも勝つつもりのようだ。

542 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 其の二十一[sage] 投稿日:05/04/10 02:39 ID:CCcqRq6s
コルド大王を圧倒する悟空、だが、コルドは巨大な気弾を作り上げていた。地球最大の危機!
「随分とやるようだな、だが、お前に宇宙空間で生き残ることが出来るかな?」
そう言うとコルドは悟空目掛けて気弾を放った。
その瞬間、悟空の髪の色が変化した。スーパーサイヤ人だ!

コルドの作り出した気弾目掛けてかめはめ波を撃つ悟空、両者のエネルギーは拮抗することもなく、
自らの作り出した気弾もろともコルド大王は宇宙の彼方へと消えていった・・・
やった、勝った・・・勝ったぞ!
「ヤムチャ、おい、ヤムチャ!!」
あまりの嬉しさに俺はヤムチャに抱きつき、喚起の声を上げた。

「男に抱きつかれても嬉しくない、というよりも気持ち悪い。」
元女性恐怖症のクセに偉そうなクチを叩くヤムチャ。
その頃、落丁完全版の中ではヤムチャ達の体が一人、また一人と消滅し、ついに最後の一人となっていた。
「おめぇ、ヤムチャなのか?」
自分達の地球とは違うこの地球に存在するヤムチャに困惑の表情を浮かべる悟空。

「あぁ、ちょいと昔の馴染みに会いに来たところで、フリーザとその親父の襲撃に出くわしたんだ。」
生粋の地球人であるヤムチャに地球外の知り合いなどいるはずもない。
だが、それに触れることなく納得する悟空。これがご都合主義という奴か・・・
「おめぇ、けぇりはどうすんだ?オラ、瞬間移動ってのを教えてもらったから送ってやろうか?」
だが、悟空の折角の申し出をヤムチャは固持した。

「言っただろう、昔の馴染みに会いにきてるって、帰るのはそいつに挨拶をしてからにする。」
そっか、そう言うと悟空は額に指を当て、自分達の故郷・彼らの地球へと帰っていった。

543 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 其の二十二[sage] 投稿日:05/04/10 02:41 ID:CCcqRq6s
遂にフリーザ親子は滅びた。そして、帰っていった孫悟空、ヤムチャもまた帰ってしまうのか?
落丁完全版の中から悟空に続き、ヤムチャの姿も消えていく。
まさか、俺は慌てて隣にいるはずのヤムチャが消えていないことを確かめた。
「なーに、慌ててんだ、相棒?」
どうやら、消えたのは落丁完全版の中のヤムチャだけのようだ。

「いや、ほら、お前もこの本の中のヤムチャみたいに消えちまうんじゃないかって・・・」
俺は素直な心情をヤムチャに打ち明けた。
「まだ、俺にはヤボ用が残ってるからな。」
ヤボ用?一体、何だろうか?
「お前への挨拶に決まってるだろ。」

挨拶っていっても、バイバイとかそんなのはイヤだ。
DBの世界ではヘタレでもここに残れば、ヤムチャは世界一の超人だ。いっそ、ここに残ればいい。
「バカなことを考えるな。俺は所詮、漫画のキャラクターだ。いつまでもここにはいられない。」
そんな・・・分かってはいたことだけど、それならそれでこちらにいられるだけ残れば・・・
「俺には俺の世界が、お前にはお前の世界があるはずだ。」

何でだよ。そりゃ、住む世界は違うかもしれない。だけど、俺たちは一緒に戦った仲間じゃないのか?
「お前はかけがえのない仲間だよ。悟空やクリリンたちと同じように。」
だったら、なんで?どうせ、向こうに戻ってもブルマにはフラれ、ヘタレの烙印を押されることになるだけだ。
「それでもいいさ。俺は俺の人生を精一杯生きていくだけだ。」
そんな・・・なんで、わざわざ不幸になると分かっていて、その道を歩めるんだ?

「まだ、分からないのか?」
なおもすがろうとする俺にヤムチャは優しく問いかけた。

544 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 其の二十三[sage] 投稿日:05/04/10 02:42 ID:CCcqRq6s
遂に訪れた別れの時・・・ヤムチャは俺に何を言おうとするのか?
「お前は俺がフリーザに勝てるなんて本当に思ってたか?思ってなかっただろ?」
その通りだ。俺は内心、ヤムチャがフリーザに勝てるなんてどうしても信じられなかった。
「だが、俺は勝った。力でもなく、頭でもなく・・・決してカッコいいとは言えない方法でだがな。」
確かに、鼻血でフリーザに勝つヤムチャなんて、こいつくらいのものだ。

「人生ってのはさ、俺たちが抵抗できないほどに細かく決められてるのかも知れない。
どうあがいても勝てない。かなわない。そう思う時が来ることもあるかも知れない。
だが、最初から諦めてしまったら、ほんの微かな灯火さえ自分で消してしまうことになるんだ。」
確かにヤムチャの言う通りだ。

「だけど、向こうの世界じゃ、もう俺は役に立てそうもない。」
えっ!?言ってることがバラバラだぞ。でも、それって・・・こっちに残ってくれるってことなのか?
「そうじゃない、人間、引き際が肝心ってことだ。」
どういうことだよ?一体・・・何が言いたいんだ?
「見てみろ。」
そう言うとヤムチャはカーテンを開け窓を大きく開け放った。そこからは満開の桜を見下ろすことが出来る。

「あの桜の木、綺麗だよな。だけど、いつかその美しさも散って消えてしまう。」
当たり前だろ・・・枯れない桜なんてない。だからこそ、この季節にはみんな花見をするんだ。
「そうだ。枯れない桜なんてない。当たり前のことだ。そして、俺たちの人生もこの桜に似ている。
誰か一人が枝にしがみついて残ったとしても、桜本来の美しさはそこにはない。
桜吹雪のように散るべき時に散っていくことも美しさの一つなんだ。」

分かるような、分からないような・・・

545 名前:晴れ 後 フリーザ 時々 ヤムチャ 其の二十四[sage] 投稿日:05/04/10 02:44 ID:CCcqRq6s
満開の桜を見下ろしながら、刻一刻とヤムチャとの別れは近づいていた。
「今はまだ分からなくてもいい。だけど、これだけは覚えていて欲しい。
諦めたらそこで終わりなんだ。だけど、終わるべき時に終わらないのは醜態を晒すことにしかならない。
見極めが肝心なんだ。美しく退くことはとても大切で、そして何よりも難しい。
もう、お前に俺は必要ない。だから、俺はお前の元を去る。これが最良の引き際だと思うからだ。」

やはり、ヤムチャはどうあっても元の世界に戻るつもりのようだった。
「お前はさ、ずっと俺のことなんて忘れてたはずだろ?俺がここに現れるまでは。」
そうだ、俺はヤムチャを忘れようとしていた・・・
「その時に戻るだけだ。そして、お前は俺なんて必要とせず、
これからはお前自身の道を歩いていく。その道にはきっと俺の力は必要ないはずだ。」

俺の道・・・確かにいつまでも漫画のキャラクターに入れ込んでいるわけにはいかない。
大人になる・・・口で言うほど簡単じゃないけど。
「相棒、最後にお前にはやらなければいけないことがある。」
そう言うとヤムチャは落丁完全版を俺に差し出した。
「このドラゴンボールを使ってフリーザによって受けたこの世界の損害と人々の記憶を消すんだ。」

すっかり、忘れていた。フリーザによって、アメリカの何とかいう基地が壊滅していた。
そして、フリーザたちのことは全世界に報道されていたのだ。
俺はヤムチャの言う通り、神龍に願った。フリーザの与えた影響と記憶の全てを消してくれと。
すると、キラキラと光り輝く物体が空から舞い降りてきた。そして、テレビやパソコン、携帯にまとわりつく。
「全てが無かったことになろうとしてる。これで一件落着だな。じゃぁな、相棒。」

光の粒が収まろうという頃、ヤムチャの姿はなくなっていた。
そして、その後、UFOの事件のことを誰に聞いても「何、それ?」と言われるだけだった。
あの日、俺は確かにヤムチャと共に戦った。それはこの原作とは違うDB完全版23巻にだけ記されている。