3年後に現れるという人造人間たちを倒すために毎日修行に励む悟空たち。

「久しぶりにブルマんちでも行ってごちそうしてもらうかー」

悟空のこの発言が地球の運命を左右することになろうとは…。

 

 

  オレが悟空でヤムチャがオラで

 


悟空「オッス!ヤムチャ!修行がんばってるか?」

ヤムチャ「あ…ああ…!もちろんだぜ!死にたくないからな」

カプセルコーポレーションにやってきた悟空一家。廊下で元気のないヤムチャに会った。

悟飯「こんにちは。プーアルさんは元気ですか?」

ヤムチャ「あ…ああ…まぁな。さぁさ,パーティを始めようぜ」

悟空「どうした?ヤムチャ。元気ねぇなぁ」

ヤムチャ「いや…そんなことはないぜ!(ブルマに浮気がバレたなんて言えねぇよなぁ)」

さて,夜も更けパーティも終わりに近づいた。ベランダに出ていたヤムチャがつぶやいた。

ヤムチャ「あー。雨が降りそうだな。雷が鳴ってるぞ」

悟空「へぇ〜。まぁ帰る奴はオラが瞬間移動で送ってってやるさ。」

そういって悟空もベランダに出てきた。その時!

ドォォォンッ!!

雷がカプセルコーポレーションに落ちた!! 命中したのは…

悟飯「お父さんとヤムチャさんに…!」

ブルマ「ちょ…ちょっと大丈夫……?」

落雷した場所は黒こげであたりに白煙が立ちこめてる。その中から声がした。

ヤムチャ「ああ…大丈夫だ」

悟空「とっさに気でガードしたからな」

煙が消え,二人の姿が現れる。

ヤムチャ「あ〜。ビックリしたぁ〜」

悟空「人造人間戦の前に死んだらお笑いモノだったな。悟空…悟…???」

ヤムチャ「ははは,ちげぇねぇなぁ…ヤム…え?」

悟空とヤムチャはお互いの姿を見て固まっている。悟飯もブルマもチチも不思議そうに二人を眺めていたが,二人の次に発した言葉に驚いた。

悟空「オ…オレだ!! オレが目の前に…」

ヤムチャ「なんでオラがそこにいるんだ…?」

 

ブルマ「ってことは孫くんとヤムチャの中身が入れ替わったわけね。」

ヤムチャ「そうらしいなぁ〜。今はオラがヤムチャになってんだな」

悟空「さっきの雷が原因かな」

ブルマ「それしかないわね」

ヤムチャ「そういやナメック星でも身体入れ替えるヤツいたなぁ〜。なぁブルマ,なんとか直してくれ。オラ,修行しなきゃいけないし」

ブルマ「わかったわ。すぐに調べてみる。そのままってワケにはいかないしね」

ヤムチャ「で,オラはどっちに帰ればいいんだ?」

悟空「…悟空!まぁお前は見た目はオレなんだからここに泊まってけよ!オレは見た目はお前なんだから,お前のウチに帰るわ」

ブルマ「……(コ イ ツ …チ チ さ ん 狙 っ て る …!)」

悟飯「…え…でも…それじゃ…」

ブルマ「何言ってるの!外見よりも中身の方が大事でしょ!あんたはこっち!孫くんは自分の家帰ればいいから!」

悟空「…は…はい。それがいいね」

ヤムチャ「そうだな。んじゃ,頼んだぞ,ブルマ」

ブルマ「…わかったわ…」

悟空「悟,悟空…。あの…修行するならオレの身体だってこと忘れないでくれよ…。お前の身体に比べたら弱いんだからな…」

ヤムチャ「ああ…そうだな。わかった。よーし,チチ,悟飯,オラにつかまれ」

少しの間,空間を静寂が支配する。

ヤムチャ「……瞬間移動できねぇ……」

(よく考えりゃ,家に誰かいないともともと瞬間移動できないんだよね…)

 

その日の深夜−―。

ブルマ宅

悟空「ブルマ〜,機嫌なおしてくれよ〜。オレが悪かったよ〜」

ブルマ「……情けない孫クンもいいわね……ボソ」

悟空「もう浮気はぜったいしないから!」

ブルマ「ふっふ〜ん…じゃあ…今夜……」

悟空「え…そ…それって……でもコイツは悟空の身体だし…マズイんじゃ…」

ブルマ「だ,大丈夫よ。わかりゃしないって。モノはためしよ…(それにあたし孫クンの身体にも興味が…)ウフフフ…」

 

悟空一家

ヤムチャ「チチ〜」

チチ「オラいやだよ。中身は悟空さっても見かけはヤムチャさんだべ。悟空さ以外の男に抱かれのはイヤだべ!!」

ヤムチャ「オラ,悟空だよ〜たのむよ〜チチ〜……何か今日ムラムラすんだよ〜」

チチ「や,やめてけろ〜!ヤム…悟空さ!!あっ…」

その夜――,チチのあえぎ声が朝まで続いたという。


 

そして一週間が過ぎた…。二人は元に戻らないまま。

悟空一家とピッコロがカプセルコーポにやってきた。

ヤムチャ「ブルマ,まだできないのか?」

ブルマ「ゴメン,ゴメン。まだできないのよ〜。もうちょっと待って。何か問題でもある?」

悟飯「修行したときなんですが,お父さんが界王拳10倍を使ったんです。そしたら3日全く動けなくなっちゃたんです。激痛で」

悟空「ブッ…!」

傍らにいた悟空の身体のヤムチャが吹き出した。

悟空「だ,だからムリするなって言っただろ!オレのカラダは3倍ちょっとがやっとだったんだぞ!」

ヤムチャ「なんだ〜。だったら言ってくれればよかったじゃねぇか」

ピッコロ「というワケで孫は修行にならん。早く元に戻してくれ」

ブルマ「(あ〜夜が新鮮だったんでついつい延ばしちゃったわ…)わかったわ。頑張ってみる」

ヤムチャ「ダメならドラゴンボールもあるしな」

チチはブルマの肩をチョイチョイとつついて部屋から出した。

チチ「ブルマさん。オラからもお願いだ。早く戻してけれ。悟空さ,ヤムチャさんになってから毎晩だべ…。いままでそんなことはなかったのに」

ブルマ「あは…あははは…。わ,わかったわ…(やることやってんのね…この夫婦も)」

ブルマの笑顔はひきつっていた。

(あの孫くんをそこまで飢えさせるとは…おそるべしヤムチャの肉体…,きっと今までずいぶん浮気してたのね…。)

 

 

さらに数週間がすぎた。ブルマの研究はあまり進展していなかった。チチと悟飯,ピッコロがまたブルマの研究室に訪れた。部屋にはヤムチャもいた。

ピッコロ「まだ直せんのか!修行の役に立たんぞ!悟空は!」

悟飯「お父さん,肉体が思い通り鍛えられなくて修行もままならないんです」

チチ「悟空さ,夜こっそりぬけだしてどっかにいっちまうだよ〜。浮気してるに違いねぇべ!元に戻してけろ〜!」

ブルマ「そんなこと言ったって難しいのよ!」

悟空「オレも界王拳はできるが,超サイヤ人化のコツはつかめなくてムリだ。このままじゃ,人造人間戦に支障がでるぞ。ドラゴンボールを使うべきだ」
というわけで,ドラゴンボールを集めることになった。…が

神龍「ムリだ。ヤムチャはともかく悟空の力は私を大きく超えている。そのモノの肉体や精神をどうこうすることはできない」

ピッコロ「つかえねェ〜」

悟空「ど…どうしようもねぇのか…。仕方ない。まぁブルマに任せて,オレと悟空は最前の努力を尽くして修行するしかないな」

 

 

そして,結局戻らないまま3年間は過ぎてしまった。

集合場所に向かう悟空たち。

ヤムチャ「ふあ〜あ……」

ピッコロ「……孫……なんだ,そのやる気のなさは」

ヤムチャ「だってよ…。オラせっかく超サイヤ人になったのにこのカラダじゃなれねぇんだぜ。鍛えてもあまり強くならねぇしよぉ。強くなったのはコッチだけだぜ

と言って自分の股間を指さす悟空。

ピッコロ「だ,だめかもしれん…」

悟空のヘタレぶりを見せつけられてピッコロは言いしれぬ不安に襲われていた。

悟飯(そんな…あれがお父さん……)

ピッコロ(悟空がこれでは悟空となったヤムチャに期待するしかあるまい…)

悟空たちはクリリンと合流したのち島の小高い丘に降り立った。ブルマやヤムチャ(外見悟空),天津飯がすでにいた。悟飯とクリリンはブルマが抱いていた赤ん坊にびっくりした。

ヤムチャ「父親はベジータだよな。トランクス」

ブルマ「な,何いってんの?名前は当たってるけど,ベジータが父親のワケないじゃない!」

ヤムチャ「え?ち…違うの?」

悟空「すまん。悟空,オレの子なんだ……。お前のカラダで勝手なことして申し訳ないんだが…すまん!」

話によるとヤムチャは中身がやっぱりヤムチャのため浮気性が激しかったらしい。怒って別れようとしたブルマだったが,子供ができたことで別れるのをやめ,ついこないだ結婚したという。

ヤムチャ「いいんじゃねぇか。別に」

ブルマ「相変わらず軽いわね〜」

ピッコロ「で,どうなんだ?孫…じゃなくてヤムチャ。修行の方はどうだ?超サイヤ人化はできるようにはなったんだろうな?」

悟空「あ…いや…その…なんだ…それが育児に忙しくてな…あははは…」

ピッコロ「お…おわった……」

ピッコロと悟飯はただただ立ちつくして呆然とするばかりだった。

天津飯「なんかさっぱり意味わからんなぁ…。もしかしてオレ仲間ハズレされてる…?」

 

※台詞の表記はヤムチャ→中身は悟空,悟空→中身はヤムチャ

 

そうこうしているうちに二人の人造人間が現れた。気がない人造人間を目で探そうとする皆。しかし…

ヤムチャ「オラいかねぇ。いっても足でまといになるだけだもんな」

クリリン「ヤムチャさん…!? あ,悟空だったっけ!何言ってるんだよ!悟空!」

ブルマ「どうしちゃったのよ孫くん…」

ピッコロ「……。こいつは構うな!早く人造人間を探すぞ!!」

ブルマと二人取り残された悟空。悟空は皆を心配する素振りも見せず,じーっとブルマを見ていた。

ヤムチャ「へへ。ブルマぁ。ずっと気づかなかったけど,おめぇ色ぺぇなぁ。オラもんもんしてきたぞ

ブルマ「ちょっ…,何言ってんの!孫くん!」

嫌らしい顔をしてブルマに近づく悟空。

ヤムチャ「いいだろ〜。外見はおめぇのダンナなんだからよ〜」

ブルマ「やめて!孫くん!(あたしは節操のない女じゃないわよ!)」

情けない悟空に怒りを覚えたブルマは悟空のほおにビンタ!

ヤムチャ「はぅッ…!!!!!」

しばし凍り付く時間。ショックで隅に追いやられていた悟空の心が目を覚ます。

ヤムチャ「……すまねぇブルマ,オラどうかしてた…」

ブルマ「……孫くん」

 

ヤムチャ「オ…オラは…オラは昔のオラに戻りたかったんだー!! 戦うのが好きで必死に修行する昔のオラに…!
恐ろしかった…だんだんといやらしくなっていく自分が…。オラともあろうものが性に目覚め…わ…悪くない気分だった。快楽に浸るのも好きになっていってしまったんだ…」

ブルマ「孫くん…」

ヤムチャ「オラ,行って来る!やれるだけやってみようと思う」

ブルマ「……孫くん……。それでこそ孫くんよ!がんばってらっしゃい!」

ヤムチャ「ああ!」

そういうと悟空は街に降りていった。

悟空が街に降り立ちあたりを見回すとおかしな二人組が目に入った。大道芸人さがながらの服をきたジジイとデブだ。明らかにういている。向こうもこちらに気づいたようだ。

20号「ヤムチャか。」

ヤムチャ「お…おめぇらか……オラは孫…ぐっ!」

20号は悟空の顔を掴む。次の瞬間悟空の身体は20号の手刀で貫かれていた。

ヤムチャ(なんて脆い肉体だ…)

気の変化を感じてその場にピッコロたちが集まってきた。悟空の身体のヤムチャは慌てふためいた。自分の身体が瀕死の状態だからだ。

悟空「こねぇって言っておいて何でいるんだよ!ここに!仙豆は…仙豆はどこだよォ!」

クリリン「あ,オレ持ってきた。そんな役に勝手にされてるし」

ヤムチャはクリリンの手から仙豆をひったくると,傷ついた悟空に仙豆を飲ませた。復活する悟空。5,6個くらいむりやりつめたので,腹が少しふくれていた。人造人間と皆が対峙する。

20号「(中略)私たちの目的は孫悟空だ。邪魔をするなら全員殺すがな」

悟空「じゃ…邪魔はしないぜ!オレは見物だけだからな!」

20号「何を言ってるんだ?孫悟空はお前だろう」

悟空(え…あ…そうだった!こいつらの目的は悟空…そしてオレが今,外見だけは悟空だったんだ…やばい!殺されるのはオレのほうだ!!)

ヤムチャ「オ…オラはヤムチャだぞ!誰が見たってヤムチャだ!邪魔はしねぇ!スキにやってくれ!」

悟空「き…きたないぞ!悟空!」

一度は元の心に戻りつつも殺されかけたことで再び悟空の心は奥に引っ込んでしまったようだ…。

ヤムチャ「おい!おめぇらこいつが孫悟空だからな!」

悟空「オレは悟空じゃない!こいつだ!こいつが孫悟空だ!オレは殺すな!お前らだまされてるんだぞ!」

20号「……なんて情けないのだ。孫悟空というのは……。データの間違いなのか…」

呆れている人造人間たち。しらけ気味の静寂をピッコロがやぶった。

ピッコロ「孫悟空を殺すのはオレたちを殺してからにするんだな。話が進まんし」

20号「……とりあえずそうしよう……。」

19号「20号…言動のデータの不一致からいってあの男は孫悟空ではありません」

20号「お前は黙ってろ」

場所を移すピッコロたちと人造人間。取り残された悟空とヤムチャ。

悟空「オレはいかねぇぞ!超サイヤ人になれねぇんじゃ勝てやえしないんだから!」

ヤムチャ「オラもいかねぇぞ。こんな弱い肉体じゃ話にならねぇ」

悟空「…オイ…。それは言い過ぎだろ。確かにサイヤ人の肉体に比べれば弱いかもしれねぇ。…しかしな」

低レベルな言い争いを続けるヘタレ二人。そこに一つの影が降り立った。

悟空「ヘタレはお前だろ……ゲッ!? ベ,ベジータ」

ヤムチャ「おっす!ベジータ」

ベジータ「カカロットォォ!何だ!そのヘタレようはぁぁーーーッ!!!!!」

 

バキィィィィッ!!

 

ベジータはヤムチャの顔面を殴り飛ばす。吹っ飛ぶ悟空ボディ(ヤムチャin悟空)。ふらふらになりながらも何とか立ち上がるが目の前にはベジータが。
悟空「オ…オレはヤムチャなのに……」

悟空の身体のヤムチャをにらみつけるベジータ。

ベジータ「オレは…オレはキサマを目標としていたのに…なんてザマだ。今すぐブチのめしたいところだが,今のキサマより人造人間の方がずっとホネがありそうだぜ」

悟空「そ…そうだろ?」

ベジータ「人造人間をブッ壊したら次はキサマの番だからな!そんな情けないお前をこれ以上見ていられんからな!」

悟空「マ…マジかよ〜。どっちが生き残っても殺されるじゃねぇか」

ベジータはくるっと振り返って今度はヤムチャの身体の悟空の方を見た。そして,悟空の腹に膝蹴りを喰らわす!

ベジータ「カカロットを色魔にしたのはどうやらキサマらしいな。キサマなど殺す勝ちもないわ!フン」

悟空「え?殺されないのか?いいなぁ…悟空のヤツは」

ベジータは飛び立っていった。それを見送るヤムチャと悟空。悟空は今の一撃で再び悟空の心を少しだけ取り戻していた。

ヤムチャ「すまねぇ。ベジータ…。オラ,この身体でできることをやってみるよ」

悟空「お…おい。何する気だ?オレの身体なんだからムリはすんなよ…な?」

ヤムチャ「いや,オラやってみる…!いや…あ。そうか!まてよ!そうだ!おめぇ,超サイヤ人になれねぇんだよな!? そうかっ!そうすりゃいいんだ!」

悟空「何いってんだ?お前。あっ!おい!待てよ!ムリすんなよぉぉ!」

悟空はぶつぶついいながら飛び立っていった。戦うためか,それともただ逃げただけなのか…。ヤムチャも逃げようとしたが,誤解を解かなくてはいずれ人造人間かベジータに殺されてしまうことを思い出した。

悟空「ベジータと人造人間両方一気に倒せる方法はないだろうか…。くそ!クリリンたちの力を借りるか。」

 

一方,ピッコロたち。

本来ならばベジータ・ピッコロは19号・20号を倒せる力を十分に備えていた。しかし,人造人間達が気を吸い取ることを知らなかったピッコロたちは思わぬ苦戦を強いられていた。

今の戦いはピッコロ対19号,ベジータ対20号で悟飯・クリリン・天津飯は見物だ。そこにヤムチャが到着。

クリリン「あっ悟空!……じゃなくてヤムチャさんなんだよな〜。あーあ」

悟空「何ガッカリしてんだよ。」

悟飯「あの…お父さんは…」

悟空「逃げたんだろ」

悟飯「そ…そんな…」

悟空「ん?なんでおめぇら加勢しないんだよ?気功波で遠隔攻撃しようぜ」

軽々しく言ってかめはめ波の構えを取るヤムチャ。

悟空「だぁーッ!」

天津飯「撃つな!ヤムチャ!」

悟空「くっ!?」 

 

ブリッ!! 

 

プゥゥゥ〜〜………

 

悟空「何で止めるんだよ!上を止めたら下から出ちまっただろ!」

クリリン「くさっ!臭いですよ!……え……な…中身まで…?」

悟空「あ…」

悟飯「………」

尻の部分が茶色く変色している赤い胴着を来た元父親の身体を見て悟飯はひっそり泣いていた。

 

クリリンたちに人造人間とベジータを一度に倒す方法はないか皆に問うヤムチャ。

天津飯「オレに一つだけ考えがある。オレのとっておきの秘策だ。いかに奴らとてこの技は吸収できんだろう。いいか。この技はオレが3年間かけて開発した最高のわ…」

悟飯「要点だけ手短にお願いします」

天津飯「オレに従え」

悟空「むかつくが従おう。で?」

天津飯「あの二組(19号・ピッコロ,20号・ベジータ)がお互いにある程度近づいたときが狙い目だ。そのときクリリンと悟飯,お前らは奴らの注意をひきつけて一瞬でいいから奴らの動きを止めてくれ」

悟飯「それだけ? わかりました。やってみます」

悟空「オレは何もしなくていいのか?」

天津飯「お前は臭いからとりあえず離れてくれ」

実行に移すために様子を窺う3人。小川でケツを洗うヤムチャ。

天津飯「もうすぐだ…。近づけ…もっと…もっと……今だ!!!!!!!!」

バッ!突撃する悟飯・クリリン。上空に飛ぶ天津飯。皆の動きを3つの目でじっくり観察している。

クリリン「え…えーと引きつけるには……ヤムチャさん直伝の……

鼻くその秘密を……そっと……!!!」

天津飯「新気功砲!!!!! はっ!」


ザンッ…!


クリリン「はな……え……?」


一瞬にして人造人間もピッコロもベジータも悟飯もクリリンも光に呑み込まれた。

 

天津飯「はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!」

 

なおも立て続けに気功砲を打ち続ける天津飯。すこしばかり感じていた光の中の気も消えていった。

天津飯「はぁはぁはぁ……。何とか倒したぞ…」

そこのみえない巨大な穴。気力を使い果たし地上へと落下した天津飯。

あの世――。

クリリン『オレたちは何の意味が……』

 

 

地に倒れ伏しながら悶え続けている天津飯だったが,かすかな気を感じ慌てふためく。

天津飯(…ま…まさか……生きていたというのか?あれをくらって…)

ガシィッ!…穴の淵から手がのびる。ベジータだ。超サイヤ人のベジータだけは何とか助かったのだ。黒こげのベジータは穴からはい上がってきた。

ベジータ「き…きさ…ま…ゆ…ゆるさんぞ〜。」

天津飯ははいがろうとするベジータの頭をボコボコ蹴りつけたが天津飯ももはや力は残っていない。ベジータは立ち上がって,倒れ込んだ天津飯を怒りの形相で見下ろした。

 

ドゥンッ!!!!!!!!

 

突然の爆発!ベジータに気功波が炸裂したのだ。ベジータはまっさかさまに穴に落ちていった。気を失う天津飯。現れたのは下半身すっぱだかの悟空,否ヤムチャだった。

悟空「ハァハァ…勝った…。これでオレの命は狙われん」

そこにヤムチャの身体の悟空がやってきた。何かを手にしているようだ。

ヤムチャ「お〜い!お〜い!どうしたんだ?何か大爆発が起こったろ?ってか何で下半身 はだかなんだよ」

悟空「安心しろ!ヤツらは全部オレが倒した」

ヤムチャ「え…?そうなのか?悟飯たちは…」

悟空「残念ながらあそこでぶっ倒れてる天津飯以外は…ん?お前,その手に持っているモノは」

ヤムチャ「なんだよ〜。終わったんなら用済みだな。コレ」

そういって悟空は血まみれのプーアルをヤムチャに差し出した。

 

悟空「プ…ププププププーアル!?」

ヤムチャ「おめぇ超サイヤになれねぇっていったろ?超サイヤ人になるには怒りが必要なんだ。だからオラはプーアルをぼこぼこにして…ん?どうした?」

悟空「キサマぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

キレたヤムチャから黄金の気が立ちのぼった。

ヤムチャ「ま…まてよ!イメージが大事なんだってば!プーアルをボコボコにたのは人造人間だって思えばいいんだよ!」

悟空「いいわけあるかァァァァァ!! ぶっ殺す!」

ヤムチャ「うわっ!く…くっそぉぉ!こうなりゃやってやれ!界王拳100倍だぁーッ!」

ヤムチャの身体から赤い気が炎のように吹き出す!

 

ブチブチ!ボキャッボキバキメキミシミシ!

 

悟空,否,ヤムチャの肉体のあらゆる筋と神経がブチ切れ,

全身の骨が折れ,血管が破裂し,体中の水分は蒸発した。

 

グシャッ…。

 

叫び声もあけず悟空は果てた。

悟空「え……」

あまりのあっけなさにヤムチャは言葉を失った。目の前にはミイラ化したヤムチャの肉体が転がっている。

 

悟空「……はうぅッ!!??」

 

突然ヤムチャの心臓が叫び声をあげた。胸を抑えてのたうちまわるヤムチャ。数分間ころげまわったあと泡をふいて白目をむいていた。
力を使い果たした天津飯も数時間後,ひっそりと息をひきとった。

 

そして誰もいなくなった。

 

そのころカプセルコーポレーションでは。

ブルマ「…できたわ〜。閃いたんで作ってみたら成功よ!これで孫くんとヤムチャは元通りになれるわね!」

 

ほどなくしてセルが出現し,世界は大混乱になる。ドラゴンボールにより孫悟飯だけが生き返り亡き天津飯への怒りで超サイヤ人に変身。見事セルを倒したのであった。

 

「悟飯くん。あたしも空飛んでみたり超サイヤ人になったりしたいんだー」とブルマが言ったりして病的な方向へと話が進んでしまうのでこの話はここらへんでおしまいということにしよう。


 

 

【糸冬】

 


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